last up date 2005.12.26

38-10
850km/h

 飛行機に乗ったとき、目的地到着時に機長が機内放送で言った。「出発が遅れたので、急ぎ850km/hで飛んだ」と。この原油高な昨今、油食いの大型旅客機が経済巡航速度をオーバーして飛ぶことは、採算性を悪化させる。だけれども、過密空港の羽田に遅れて到着するリスクの方が大きかった訳か。


38-09
現職警察官に聞いた話

 私の友人にはなぜか警察官が何人もいる。
 ま、私の世代は求人が最も冷え込んでいた時期に大学卒業が当たったので、安定していると思われる公務員を志望する者が多かった。また、不本意な仕事に就いたが辞めた人間も、勉強さえすれば一定の成果を得られる公務員を、名誉と安定を得られる有望な再就職としてよく選んだ。そして警察官は、治安対策として急な増員が行われはじめたので、公務員の中では比較的入りすい。その為、警官が多いのは不思議ではないのだが。
 そうした人々から今年聞いた話で、サイト未掲載のものを情報提供者に迷惑が掛からない範囲で挙げる。汚いというか、グロい話もあるので要注意。

・警察は携帯電話を連絡によく利用する。応援を呼ぶのも携帯電話。しかし中には、電波法違反ながら市販されている携帯電話ジャマーを持っている奴もいたりする。そういうときには、警察無線を用いるそうな。様々な職場で携帯電話が仕事を変えているが、無線を装備している警察までもが携帯を活用しているとは思わなかった。

・夏場の死体は半日でウジが湧く。土曜に酒飲んで酩酊して帰って、寝たままゲロ吐いて、窒息死した若者の死体が、月曜日に発見したときには既に、すでに大量のウジがたかっていたという。

・生きていても、酩酊して倒れた人間の全身にアリがたかっていた例もあったそうな。全身アリだらけだから死んでいるのかと思ったら、生きていたという。泥酔するもんじゃないね。いや、本当に。

・タクシー用に開発された日産クルーは、安価で耐久力があるのでパトカーにも用いられている。しかしパワーがない為、クルーに当たるのを警官は皆、嫌がるそうな。実用車だけあって案外小回りは利くが、追跡の際にはなんども引き離されて悔しい思いをしたとか。

・交番で昼メシにざるそばを頼んだら、直後に出動。このそばを食ったのは午前2時。水で戻して食ってみたという。警察官は不規則な生活だが、メシも満足に食えない状況がしばしばあるそうな。

・***区は、過去に犯罪を犯した重度の精神病者を収容する施設が点在しており、決して住んではいけないとか。そういうのがよく脱走しており、新聞にも載らないような騒ぎを起こす。警官を見ると襲いかかってくる奴もいる。こういうのを取り押さえて調べてみると、何人も殺している奴がザラにいるという。特に******地区がヤバいとか。

・古い団地は、孤独死の老人が放置され、腐汁が染みてる部屋があるから大変。

・警視庁のパトカーには、必ずハンディカムが取り付けられており、ミッションはオートマチックがほとんどという。

・鉄道事故では、ベテラン駅員が見つからないパーツが飛んだ方向を見定めて、手足を持ってくる。「ありましたー」とうれしそうに手を掲げて持ってきたり。ちらに、目は漫画のように飛び出るそうな。劇画でよく目玉だけ飛び出るシーンを見るが、強い衝撃を頭部に受けたら頭蓋骨が砕け散るだけで、目なんか出るわけがないと思っていた。しかし実際に飛び出るという。


38-08
元銀行員に聞いた話

 今もあるのかもしれないが、昔は銀行に巨大な書庫があり、そこに銀行機能のすべてがあったという。ほんの30〜40年前の話である。つまり、今ではネットワークで繋いでコンピュータ処理していたようなことを、すべて紙だけで行っていたのだ。ИНК銀行の支店にさえ巨大な書庫にハシゴをかけて行員が登っていたわけだ。この巨大な紙の山から情報を見つけだし、電話・電信・郵便で情報をやりとりし、そして計算を合わせていた。人類の英知とも言うべき、すばらしいシステムである。それが今や、コンピュータと高速回線で結ばれているのだから、隔世の感ありだ。ただ、銀行機能そのものは、手で書類を探し、電信・電話でやりとりしていた頃とそう変わらないのだから驚きだ。
 しかもこの話をしてくれた人物によると、当時は電卓さえも1つもなかったという。慶應や北大を出た秀才も最初は窓口なんかに配属されるが、計算はソロバン。ソロバンを出来ずに、若いエリート行員はよく四苦八苦していたという。恐ろしい。


38-07
仕立屋

 先日、私の両親が服の仕立て直しを頼んだという。漫画「王様の仕立て屋」ぐらいでしか仕立屋のことなんかは私は知らない。その為、めずらしいのでそのときの話を。
 父が昔仕立てた紳士服が、サイズが合わなくなった。上等な品なので仕立て直すこととした。別に仕立屋に知己がいるわけではなく、父は電話帳を見て、何の広告もなく1行だけ「仕立て一級技能士 ****(←これは名前)」とあるところに電話をした。ジイさんの名前で飾り気のない電話帳への掲載。こういうところの方が腕は確かだと見込んだわけだ。
 そしてやってきたのは実際にジイさんだったが、バアさんも伴ってきた。夫婦で商売をしているという。ジイさんは15のときから仕立ての道に入り、今はもっぱらリフォーム(仕立て直し)を手がけているという。父の背広も数千円で仕立て直してくれた。紳士服は難しいが、腕を活かせると張り切るとのこと。婦人服のスカートの丈直しや子供服も手がけるが、そうしたものは簡単だとか。そしてバアさんはジイさんのサポートもするが、ひっきりなしに携帯電話がかかってきて、バアさんが応対していた。宣伝していなくても流行っているようだ。口コミか。
 そして仕上がった服を持ってきたとき、母が受け取ろうとしたらダメだという。本人が着なければダメだそうな。そしてジイさんは父に仕上がった服を着せ、明るいところに立たせて、様々な角度から長めて「よし!」と満足げに言って渡したという。職人だ。まだまだこういう職人がいるのですな。


38-06
生産性ひくし

 社会経済生産性本部の調査によると、主要30ヶ国中の日本の労働者ひとり当たりの生産性は19位という。実は日本の労働者の生産性は、低い部類に入る。まあ驚きもしませんがね。
 産業社会に於いては、学ぶことがあまり重要視されず、そこそこ読み書きそろばんが出来る人間が学校から輩出されると、あとは職場での慣れとゲマインシャフトへの一体化でもって一人前になるとされた。実は、豊富な若年人口を、家族の擬制のもとに格安で献身的な労働に従事させてきたので、日本は生産性が低くとも競争力を維持できた。勤勉でマジメかもしれないが、私は日本人労働者が必ずしも生産性が高いとは思わない。
 けれども、そうした産業社会に於ける科学教育の蔑視、家庭・私生活の軽視のツケが、今のポスト産業社会に於いて顕著に現れ始めている。教育の蔑視はもちろん高度な専門職を多量に必要とするポスト産業社会の担い手が十分に育っていないことを意味し、企業や社会による労働者の家庭の軽視は人口減・少子化を促進して「若く割安な労働人口」という日本を支えた層を失わしめ、私生活の軽視は消費市場の冷え込みと企業収益の縮小、給与の低迷という悪循環を生みだし、これらのダメージは計り知れない。


 さらに悪いことには、労働力が全世界化するポスト産業社会に対応する為、日本人の労働コスト低減も図られている。アメリカの資本主義の最悪の部分だけを次々と移植して、奴隷制度・半植民地のごときひどい搾取でもって、日本人同士の格差が激化している。仕事の乏しい地の人間を時給六百何十円という最低賃金で雇い単純労働集約拠点に集め、あるいはそうした仕事の乏しい土地から「フリーター」としてこれまた格安の短期労働力として連れ出し、使い棄てている。
 こうした労働者は、もはや最悪の労働条件・最低の賃金の中に固定化されて、這い上がることが不可能になる。自助努力・自己責任の美名の下に、派遣会社で求職者に自己負担で英語や会計の勉強を要求している世の中だが、こうしたカギカッコ付きの奴隷同然の「フリーター」には、その程度の自己投資するカネも時間もない。ついでに意欲さえも持つ余地がない。結婚さえ出来ないだろう(そして、ますます少子化に拍車が掛かる)。もうすでに日本は、中流幻想や平準感などというものは存在しない。
 こうした日本は、企業努力・コスト削減という美名の下に、教育の不十分なエスタブリッシュされていない労働者を格安で使い潰し、その結果として奴隷同然の階層を日本に現出させ、ますます日本の労働者の生産性を落とし、まだ拡大の余地のある消費市場を縮小させ、少子化に拍車を掛け、結果として中長期的には自らの首を絞め続けている。


 こんな世の中で、「若いうちは苦労をしろ」「若いうちは勉強だ」「若いうちの経験は大切だ」という美名の下に、低賃金で献身的な労働を強いられても、産業社会と違って年齢とともに賃金や地位が上がるわけでもないので、若者はますます労働意欲を落とすだろう。若い非熟練労働者を使い潰し、経験を積み年齢を重ねてカネがかかるようになるとさまざまな手段でクビに追い込む。専門性の高い世界ですらこの構図が蔓延っている。いやはや、正解のない行きにくい世の中ですわい。


38-05
今でも高校の校歌はそらで歌える

 「名門高校人脈」なる本を、本屋で見かけて手にとってみた。まさか全国的にはまったくの無名高校である我が母校が載っているとは思わなかったが、期待はしていた。目次に我が母校の名を発見した私は、すぐさまレジに持っていった。私は愛郷心なんかこれっぽっちもないし、(人はウルトラナショナリストだと思っているかもしれないが)愛国心もそれほど旺盛ではないような気がする。だが、私の愛校心は高校・予備校・大学の別なく旺盛である。まあそんな人々を対象にしている本であり、あるいはそうした愛校心そのものを取り扱った本とも言える。だが、内容はどうだろうか。


 いくらИНКの無名高校と言っても、我が釧路湖陵は北海道東部最高峰の名門高校だ。旧制中学の例に漏れず、地元の名士の多くは湖陵出身。地元の地方議員、地方首長、企業経営者の湖陵OBの割合は高い。もちろん、進学率が高いので弁護士、公認会計士、医師、大学教員などの専門職を少なからず輩出し、官僚、大企業中堅幹部なんかも少なからず輩出している。まあしかし、よくある進学校だ。進学校としては凡庸すぎて特筆すべきことはないかもしれない。


 だがね、「漫画家の輩出校として有名」などといい加減なこと書くな。全然そんなことで有名ではない。確かに、何人かそこそこ有名な漫画家やアニメ監督を輩出してはいる。私が入学する数年前まで、湖陵は当時としてはめずらしかったオタク同好会を抱えていた為か、その筋の職業人もまた輩出している。けど、決して二次元産業で有名ではない。著名なOBに漫画家を何人か発見したから、「漫画家の輩出校として有名」なる文言をその場で考えついただけだろう。地元ではもちろん、北海道のどこへ行っても釧路湖陵と言えば凡庸なИНКの名門進学校以外の何者でもない。それなりに産・官に人材を輩出し、専門職や政治家を輩出する、ИНКの名門だ。決して、真っ先に「漫画」などという単語を思い浮かべる人は、まずおるまい。そして道外では、まったくの無名校だ。


 そしてさらにとんでもないのは、OB一覧にモンキーパンチを加えたこと。モンキーパンチ氏は湖陵OBではない。もちろん本人に聞いたわけではないが、この本を臭いと思った大先輩から寄せられた情報によると、卒業者名簿に加藤一彦の名はないという。一時期合作していた兄・輝彦氏の名もない。そして加藤一家は我が一族と多少接点がある。親にモンキーパンチは湖陵OBなのかと尋ねたところそんなことがあるはずがない、という。浜中町で地元の定時制高校に通いながら、レントゲン撮影助手をしていたそうな。こんな有名人の出身校を・・・どういう方法でOBを調べたのか。


 よくよく読んでみると、この本、「インターネットでの検索」や「知人からの又聞き」を情報源としているという。正直言って、何の保証もないゴミ同然の情報だ。学部生論文でさえネットから得られた情報に価値を認められることはほとんどないというのに、ネットの噂で本を書くとは。いやはや。ま、本というものも、いい加減なものは少なからずあるというわけで。けれどもまあ、間違いはあり、滅茶苦茶な特徴付けをでっち上げなどもしているが、我が湖陵が取り上げられたことそのものはうれしい。そういう人間がいるから、やっぱり売れるんだろうね。 


38-04
名刺作った

 私は28歳にもなって、来年度から大学院へ『入院』するのだが、今回予行というか院生・若手研究者と知己を得るため学会に参加することにした。中堅大学の院へ28歳にして入り、学問でメシを食っていけるようになると考えるほど私は楽天的ではない。だが、やることはやっておかないとね。学問の世界も、やはり人脈らしいので。どこもそれは同じか。
 急遽名刺なんか作ったりしたけれども、名刺入れがない。就職祝いに姉に本皮のケースをもらったような気がするが、会社を辞めたときに「当分要らんだろう」と実家に放置してしまったのかもしれない。名刺ケースも買い直さねば。こうした考えると、私は社会人(注)が持っているものを大分手放してしまったので、いざ切り込むときに焦ることもありますわい。

注 社会人・・・これって、日本独自の概念で、外国語に訳できないんだよね。カネを稼いでいるという意味ではないし、企業に所属しているという意味とも限らない。社会参画の度合いと立場を示しているだけではなく、ゲマインシャフトめいたゲゼルシャフトに所属しているというような意味をも帯びているような気もする。なんにせよ、私はこの概念からは外れる。


38-03
早く医者へ行くべきだ

 ステイツでは、精神状態がおかしい人が「爆弾を持っている」と航空機内で叫んだ為に、スカイマーシャルに射殺された。しかし何故日本で弱者に暴力の行使を示唆するパラノイアを、撲殺してはいかんのであろうか。
 海自出身の同期は、警戒の為に警棒を数本調達してきた。15歳から64式小銃抱えて這いずり回り、瀬戸内海で遠泳して鍛え上げられた彼の身体能力と、さほど鍛え上げられてはいないが健康な20代男性である私が、2人がかりで警棒でぶん殴れば、あの不健康な30代のゴロツキを殺すことは造作もないことだろう。だがそうはいかないのが面倒なところで。
 いや、別に何もしませんよ。日常生活の場から、異常者を排除できればどんなに生産性が上がることかと臍を噛んでいるだけで。


38-02
不幸な偶然が重ねれば、私は奴を殺すだろう

 Не плюй в колодец - Пригодится воды напиться.訳すれば「井戸に唾を吐くな。その水があなたの役に立つかもしれないのだから」。んなこたわかっていてる。生かしておけば、何かの役に立つこともあるだろう。これまで通り、何事もなかったかのように中立姿勢をつらぬいておけば、何年後かにロシアと奴で会って、思わぬ助力を得られるかもしれない。んなこたわかっている。奴そのものはどうでもいいとして、ここでトラブルを拡大してしまえば、この狭いロシア語関係界にとってデメリットしか生じさせない。んなこたわかっている。


 だが、私はあのような僻み根性のやくざ商売のゴロツキの甘ったれたパラノイアと、共存するすべを私は知らない。先日の件で、私の精神にとって、どうにか共存できていた線を超えてしまった。あんなクズ殺したところで自分にとっては益するところは何もなく、精神の快楽にすらならず、殺したことによって奴の記憶が一生鮮明に私の脳裏に刻み込まれて、その記憶に、殺すことも屈服させることも出来ない自分の記憶に苛まされることになる。


 私はときどき銃があれば自分の脳髄を吹っ飛ばしたくなるが(だから経済的に可能なのに、あれほど焦がれた実銃の許可証を取得しないでいる)、それは厭世でも自己嫌悪でもない。最も憎悪する対象が自分の脳神経の中の虚像でしかないことを知っているからだ。デカルト的懐疑に立ち返らなくとも、人間は他者を認識できない。すべては自分1人の内面的な問題に過ぎない。従来の問題は時間の経過によって漸く静まってきたが、ここで新たな記憶を最も強烈な形で刻み込むことは得策ではない(この際、私が獄舎に入れられることは問題ではない)。ドストエフスキーは他殺は自殺であるとしたが、私はロシア正教の戒律とは別に、極めて個人的な経験からそのように思うわけね。


 何にせよ、秩序を乱し、他者を貶め、女性を暴力の示唆によって強迫(脅迫ではない)しながらも、自分が正しいとしか思えない、自分の不都合はすべて悪辣な他者の陰謀のせいと思うような異常者と、これ以上の付き合いはいかなる形態であれ御免である。あんな自己を省みることが出来ず、語学力も低いレベルに止まっているような人間に、世話になることなどあるまい。


38-01
ついにこの日が到来した

 今日、ついにこれまで燻っていた問題が暴発した。
 あの狂人がストレスと被害妄想と僻みと羨望などを一気に暴発させた。
 そしてここで私は選択せねばならなかった。いかなる消極的な態度さえも奴にとっては強い意味を持つ。私は奴の異常行動を看過できなかった。ましてや女に暴力を示唆して恫喝するようなマネを看過できるわけもない。私は奴の敵であることを消極的ながら選択した。
 これまでそこそこの友好関係にあると見なされていた私のこの態度に、奴の狂気は増幅されたことであろう。異常者は普段から自分を冷淡に扱う人間をそう憎まない。トラブルを避けるため中立姿勢をとる人間、憐憫や弱気から友好めいた姿勢をとる人間が、どうしても旗幟を鮮明にせざるを得なくなった瞬間にこそ、異常者は強い憤りを覚える。以前にもそのようなトラブルが2〜3度はあった私は、そのことをよく知っている。
 だからこそ明日は、備えなければならない。
 身体的にも、社会的にもダメージを受けないように。


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