2001/09/17 公開
担当:カルネアデス

ADAM THE SPIRAL FACTOR

#35 Ver.α


 法条を運ぶのを手伝ってくれと言われ、手伝っている自分が居た。
そしてそのまま車に乗っている。

 これではまるであの時と同じだ、何を考えているんだ、俺。
このキャサリンとか言った女は、先ほどまでとは違った視線で俺を見ている。

 何で俺を見るんだ?
くそ‥‥と思いつつも、それなりに苛立っていない自分を確認する。

 ‥‥これではまるで、道化だな。











 目的地に着いたようだな‥‥贔屓目に見ても、普通の建物だが。
店舗が入るような‥‥医療とかそのような類のものとは無縁の場所。
それが俺の第一印象だった。

佐々木恵「ここの二階なんだけど」

 解ったよ。俺は車を降り、法条を担いで建物へ急いだ。
結局俺一人で運んでいるんだ、それはそれで楽かもしれない。

 さっさと終わらせて俺の仕事に戻ろう。
進行方向にオープンカーが止まっているのを見た。

 先ほどまで降っていた雨が車の中に溜まっている。
この雨の中、走ってきたのだろうか?

 そう思ってその考えは蹴った。どうでも良いだろう、そんな事。

女性「‥‥はぁ‥‥はぁ、この辺りだったんだけど、あったあった」

 どん!

 声が聴こえたと思った矢先、何かが俺に当たった。
‥‥見るまでも無く、何かを言っていた女だと思うんだが。

 ちらりと一瞥すると、やはり女が居た。
俺と当たった際に吹っ飛んだんだろう、雨に濡れる地面に尻餅を付いている。

女性「あーん、びしょびしょ‥‥」

 その女性に手を差し伸べる佐々木とキャサリン。
俺の手は無いぞ、法条を抱えているのでな。

女性「あ、どうも。ごめんネ」

 手を貸して貰った事への感謝だったのか、
ぶつかった事への謝罪だったのか判らないが‥‥俺は二階へ行く事にする。

女性「あれ、恵さん?」

佐々木恵「‥‥あら、茜さんじゃないの」

女性「それにキャサリン?」

キャサリン「え、奇遇じゃナイの」

 そのまま井戸端会議に突入しそうになるような気がした俺は
釘を刺す事にした。

スネーク「‥‥おい」

佐々木恵「何かしら?」

スネーク「‥‥‥‥」

佐々木恵「ただの知り合いよ、柴田茜さん」

柴田茜「どうも、先ほどはぶつかってしまい、すみませんでした」

 深々と頭を下げる柴田茜。
‥‥それは良いから、早く法条から開放してくれ。
担いでいるのは俺だけなんだからな。


to be continued ... ?


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