2001/09/26 公開
担当:カルネアデス

ADAM THE SPIRAL FACTOR

#44 Ver.α


 ふふふ、私は今、エルディア大使館の中に居る。

 驚く事は有るまい、こんなことは日常茶飯事だよ。
布教活動に国境など存在しないし、言語もまた然(しか)りだよ。

 がちゃり。

「何のようだ」

 私は応えない。

「何のようだと、訊いておる!」

 応える必要など無い。

「‥‥‥‥」

 私は懐からナイフを出した。
手のヒラで踊るククリが光を乱反射させる。

「‥‥それが応えかね?」

「‥‥そうだ」

 間髪入れず動いた男は机の上に備えられたスイッチを押そうとした。
‥‥が、私の方が早い。

 重力に惹かれるように落ちる奴の右手を、ククリの甲で跳ね上げた。
ふふ‥‥いきなり決めてしまっては楽しくないだろう?

 そしてその跳ね上げた手を掴み、スイッチより遠ざける。
まあしかし、時間の問題だろう。監視カメラがあるようだからな。

「何者だ、貴様は‥‥?」

「よろしい、せめてもの手向けだ。私の名はプリーチャー」

 私が名乗ると同時に奴はナイフを抜いた。
奴は刃を垂直に構え、私に向かって来る‥‥。

 私はククリを11本ほど取り出し、指の間に4本、
掌に2本、計6本を両手に用意し、奴に迫った。

 奴の眼に私の赤い瞳が映った刹那‥‥奴の身体は無数の
刃物傷を受け、血が吹き出し、そして床に倒れた。



 私にしては珍しく、早々と勝負を決してしまった。
本能なのだろう、手傷を負った私の限界はこういう事なのか。











 これで、私の望みが叶う‥‥はずだ。











 人間の内部を駆け巡る、
心地良い血の香りがエルディア大使館を包み込んでいた。


to be continued ... ?


後書き

 カルネアデスです。プリーチャーサイトが帰ってまいりました(ぉ
実は #02 があったのですがそれは没です、実に残念。

 なんか気のせいか
無茶苦茶書きやすいんですけど‥‥なんなんでしょうね。

 もうテラーに匹敵するぐらいの設定ですので
テラーの基準が解らないというのもありますけどね。

 目が見えていようが関係無しです、
作中で語っているように少しは関係ありますが。



 普通、嗅覚で血は「におう」だと思うんですけど「かおる」にしました。

 まぁこの違いはプリーチャーならどっちという点で決めただけです。
「臭う」と「香る」では意味合いが正反対で所でしょ。

 嗅覚の良い感覚が「香る」で嫌な感覚が「臭う」だと思っていますので。
血からくる感覚がイィとは考えたくないだけです。

 という所で今回はこの辺で。まだ続きます。


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