佐久間裕一「あいつらは、人を玩具(もの)にしか見ていないんだ!!」 氷室恭子「‥‥そうね」 佐久間裕一「挙句にこれだ!」 『バン!』と勢いよく佐久間の手ごと、机に叩きつけられる書類。 氷室恭子「なに‥‥それ?」 佐久間裕一「こんなものを創りやがったんだ!」 氷室恭子「‥‥‥‥」
佐久間裕一「人類の永遠の夢であって欲しかった事だが、
氷室恭子「‥‥熱くならないでよ、私は置いてきぼりなんだから。
医療に心得が無いものにはその書類は難しすぎた。
佐久間裕一「‥‥すまん。そうだな‥‥所謂(いわゆる)若返り薬だ。 氷室恭子「新陳代謝‥‥つまり老化が遠退(とおの)くと?」 佐久間裕一「そうだ、老化とは細胞が死んでいく事を指す。
古くなった細胞は新しい細胞に新陳代謝機能によって
新陳代謝機能が歳を重ねるごとに衰えていくからだ
ならば逆に再生能力の高い若い頃の細胞を
そういう作用をするモノだと予想できる‥‥と言うより、 氷室恭子「そんな‥‥」
佐久間裕一「確かに‥‥人類にとっては喜ばしい事かもしれない、 氷室恭子「‥‥‥‥」
おもむろにタバコを探す佐久間、その手には震えが‥‥。
佐久間裕一「地球の温暖化、資源の先行きの不透明感、 氷室恭子「‥‥‥‥」
ついにタバコの火を入れる佐久間。 佐久間裕一「尤(もっと)もどんな副作用があるかは解らん事だが‥‥」 氷室恭子「‥‥ねぇ」 佐久間裕一「‥‥ん?」 氷室恭子「それ、小次郎の治療に使えないの?」 佐久間裕一「‥‥さぁ――――」
先ほどまでは煙一つさえ、浮かんでいなかった室内は、
第二部 了 |
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