☆天城小次郎
薄暗い部屋だな、うむ、意識が曖昧すぎる。
くそっ、あいつ相手に気絶してたって事は。‥‥まじぃなぁ、あれ? 身体は自由だぞ。どうなってんだ?
あいつの趣味だと拘束されているかと思ったのだが左手首は相変わらずダメっぽいな。
‥‥‥‥。
誰か居る。
そこに拳銃が在るのも判る。何故だか判る。勘か‥‥。
☆法条まりな
ここは、どこよ。
私は‥‥そう。
あいつに負けたんだわ。
無茶苦茶だったわ。
‥‥けど。
けど負けたんだわ。悔しいけど。
あんな無茶できるほど、あんな人間離れな事が
出来るほどの努力が私には無かったって事かな。最近は‥‥サボってたからなぁ。
‥‥‥‥。
?!
誰か居る。
闇のお蔭で視界はゼロよ。
なのにイクイクちゃんがそこに在るのが判る。
ずっと共に生きた相棒だもんねぇ‥‥。
判るわよ、あなたの息遣い、さあイクイクちゃん。
私に力を貸して頂戴!!
☆桐野杏子
私が扉を開けたら、小次郎さんとまりな先輩が銃を向け合っていた。
だけど二人とも、顔は私の方を見ていた。しばしの沈黙、「だぁぁぁぁ〜」と言いながら、
脱力したようにベッドに倒れこんだ。その動きに、せわしなく揺れる点滴台。
しばらくして、小次郎さんが「ふふふ‥‥」と笑い出した。
続いてまりな先輩も笑い出した。30秒ぐらいそれが続いた。私にはずいぶんと長く感じられた。
1時間ぐらい笑われていたように感じたんだけど‥‥。まりな先輩が半身を起こして私に向かって、言った。
「杏子ォ、もしかしてさぁ‥‥」
「はい?」
「あんたがさぁ、プリーチャーのボスって奴?」
「‥‥へ?」
小次郎さんが布団の中で震えているのが判る。
‥‥酷いわ二人とも!!「わ、そ‥‥私がそんなに悪党だと、そう思っているんですか!!??」
「そうね、私達をこんな所に閉じ込めて‥‥まんまと騙されたって感じよねぇ!」
「ちっ‥‥違いますぅ!!!!!!」
「まったくだ、あの朝飯さえ喰わなければ‥‥ちっ、
よもや即効性ではない遅効性の痺れ薬を盛られていたのではなぁ、
いくら俺様でもあいつには負けるさ」「そんな小次郎さんまで、誤解ですぅ。私はただ。水の換えをぉ!!」
「‥‥はいはい、判っているわよ、杏子」
「‥‥はい?」
「ちっ、どうやら桐野に助けれたらしいな」
「どうしたのよ杏子、さっきのは冗談よ。半分は」
「ああ、半分だけだからな、勘違いするなよ桐野」
「は‥‥半分って」
「そのままの意味だ、どういう風に理解したんだ?」
☆天城小次郎
俺の掴んだ銃はベレッタM1919。
今時こんな古風なのを使っているのはあいつしか居ないかもしれんな。
オマケにこの重さだと残弾はゼロだ。ということはこいつは‥‥。
俺様は敵に捕まっていないと言う事か?抑止力には使わせてもらおう、まさか相棒を掴みそこなうとは。
俺様の勘も鈍ったか?
☆法条まりな
イクイクちゃんじゃなかった。おかしいわ。
イクイクちゃんお気配はするのに。あれ、この銃はどっかで見た事あるわよ。
グロック22、オマケにレーザーサイト付き。‥‥隣にいるのは敵じゃないかもね。
念の為に威嚇はしておかなくっちゃだめよね。サイトのスイッチは‥‥確かこれだったかな。
☆桐野杏子
と言う事だったらしい。初めから弾は抜いてあったんだけど、
抜いてあったと言うかゼロだったけど。入っていたら抜くつもりだったけどね。‥‥銃を持っただけで残弾数がわかるものなの?
「はぁぁぁぁぁ、脅かさないで下さいよぉ‥‥」
「悪かったわね、杏子」
「ふむ、一体ここはどこなんだ?」
アレから半日、内調が崩れ落ちてから半日、二人は目覚めた。
まりな先輩が運び込まれていた事すら知らなかった、
私は佐久間さんと一緒に出かけたから。‥‥ぷっ、ヤッパリ先輩はこうじゃなきゃね。
寝ている先輩は見ていたくなかったし、うーん、微妙だなぁ。‥‥本当に重体だったのかな?
☆天城小次郎
不本意だが、桐野のアレを見ちまったら緊張の欠片も無くなっちまった。
お蔭で笑いすぎて、腹の方が深刻なダメージをうけちまったが。‥‥腕が繋がっている。完全とは言えないが、まぁあれから半日だからな。
桐野‥‥じゃないだろうな。感謝せねばならんな。‥‥ふ、探偵稼業も廃業かな、こりゃ。
☆甲野三郎
藤井ユカ‥‥か。病院の人材不足もここまできたか。
彼女がコンナになるまで看病をしなければ為らないほどの負担があるとはねぇ。まぁ、24時間以内にはお目覚めでしょうから。置いておこうねぇ。
今、その話題は置いておくべきだね。結局、まりな君が始めて監視機構の世話になったあの場所を
再び間借りする事になってしまったしねぇ‥‥とほほ。
後書き
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