ADAM THE SPIRAL FACTOR

　何回目の溜息なんだろう。忘れてしまった。
こういうのは‥‥なんていうのかな、無気力、やる気が無い、根性無し？

　「世界を窮地より救い出した美少女」と銘打たれた
取材の嵐で疲れてしまったのだろうか‥‥？　ううん、違うわね。

「侮辱は石に、恩恵は砂に刻まれる‥‥か」

　他人には言った事があったけれど、あまり信じていなかった、この言葉。
今は昔ほどには騒がれない、まさにこの言葉の通り‥‥。
今はそれを、我が身にひしひしと感じながら。

　後で知った話だけど、杏子さんと雄二君と佐久間さん。
みんなの力が無かったら、ワクチンは完成していなかった。

　ヒントをくれたのはこの三人、押し付けられたのか
独り占めしたのか判らない。‥‥いいえ、そんな事は無いわ。
前者なのよ、言い方は悪いけど、後者では絶対にないもの。

　私は科学者、みんなはそういう騒がれ方を好まなかった。
ただ、それだけの事‥‥。

　あの手この手で、みんなには連絡も取れた。
この状態が最良だったと、口を揃えたような回答が回ってきた。

　‥‥気分転換でもしに行こう。判っているのに無意識の内に
「もし」とかそのような考えに頭が回ってしまう‥‥困ったわね。

　学者体質、あの時、あの実験、あの結果‥‥こうあることが
日常と化してしまった自分を可愛くないと思う。

　大地の体温をこの身に感じながら、ボーっとするの多くなったと思った。
おばぁちゃん‥‥よね、こんなのじゃ。