2001/09/08 公開
担当:カルネアデス

ADAM THE SPIRAL FACTOR

#26 Ver.α


 私の名前は‥‥余裕が無いから部長で良いわよ、部長で。
教育監視機構の美人部長とは私の事よ。

 え、なによ‥‥一体何の部なのかって?
うーん、イィ質問ね。私の下で働かない?

佐久間裕一「‥‥部長?」

 邪魔が入ったわね、三人称ではなく私の一人舞台だったのに。



部長「足りないものは‥‥買出しに行ってもらってたんだけど」

 最後に部屋に入ってきた松乃が抱える、
完全防水加工された薬局名前入りの買い物袋を一瞥しながら部長が続ける。

部長「一斉に揃っちゃったわね」

 バタン!

 部屋の扉が閉じられ、雨音が遠のく。
部屋に入ってから、小次郎を支えていた氷室は部長を見つめていた。

部長「そんな顔しないの」

 困った娘ね‥‥と言った顔をした部長が氷室に歩み寄る。

氷室恭子「部長‥‥あっ」

佐久間裕一「さぁて、早速部長に働いてもらわないとな」

 氷室を押しのけ、小次郎を支える佐久間。
桐野は甲野に押しのけられた。

桐野杏子「‥‥あう」

 押しのけられた桐野を、先ほどまで弥生を運んでいた雄二が受け止める。
一方の氷室は、部長の胸に飛び込む形となった。

 優しく氷室を受け止め、気を失った男を運ぶと言う
重労働から来た汗、それをたっぷりと含んだ髪をそっと撫でる。

部長「真打登場‥‥って訳?」

佐久間裕一「広美だけしか手は回せませんよ」

部長「判っているわよ」

 部長は氷室を椅子の方へ誘導しながら佐久間に返事をする。

部長「イィ? 私を信じられなければ、それで終わりよ」

 氷室の髪をクシャクシャに言いながら、力強く、
それで居て心を包み込むような声で、部長が囁いた。

氷室恭子「‥‥お願いします、部長」

 かつて去っていった職場、その上司。

 物事を割り切れる氷室ではあったが、
今も変わらず、当時の様に接してくれるその心意気に、
ただただ、頭を下げる事で精一杯だった。


to be continued ... ?


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