2001/09/12 公開
担当:カルネアデス

ADAM THE SPIRAL FACTOR

#30 Ver.α


 ‥‥ああ言ってしまったものの、何故か迷っている自分が居る。

 な‥‥ふ、自問自答か。何故なんて言葉は幾度吐いても同じ事。
答えは、はじめっ‥‥‥‥から決まっていると言うのに。

 時々、自分が可笑しな奴に思えてしまう。
お前にもそんな時があったのだろうか、なぁ、見城‥‥。





「モニカ‥‥? ‥‥やっぱりモニカね」

 人が辛気臭く墓参りをしていると言うのに、雰囲気ぶち壊しだな。
通信販売で購入した桶と尺、お前も日本語を読めるのなら知っていよう。

 予備動作、殆ど無しで手首を主に使って、
尺で桶に入った水をすくい、声のした方へ手首を返す。

 ばしゃ‥‥。

「‥‥モ・ニ・カ!」

「ふふ‥‥相変わらず水も滴(したた)るイィ女‥‥だな、マイナ」

 相変わらずトロイ、まああれがかわせればペンタゴンも
ほっては置かない。‥‥なんだ、私がスカウトするんだ、問題ないだろう。
元ペンタゴン関係者だからな、私は。

 私の放った水を正面から受け、先の言葉通り、イィ女になったマイナが居た。
この私を親友だと言ってくれる‥‥数少ない人間さ。

「しっかし‥‥そんなに暇なのか、息抜きなのかは知らないが」

「うん、ちょっと‥‥ねぇ」

 歯切れが悪いな‥‥。

「常連さんらしいな」

 ピクリと口元が吊り上るマイナを尻目に私は墓に向かい、水をまく。

「モニ‥‥カ?」

 図星か、よくこの墓に入っていくところを見かけていたからな。

「マイナの事だ、どうせそんな事だろうと思ってた」

「‥‥‥‥」

「その美貌で、おばぁさんとか言いふらしそうだな」

「‥‥っ」

「酒の相手ならしてやる、私は他の術を知らないからな」

「‥‥うん、ありがとう。けどモニカ‥‥それは‥‥」

「判っているさ」

 ばしゃ‥‥。

「学者の先生は知らないのかい、この行為を‥‥」

「うん、知らない」

「‥‥死者に水浴びをさせているわけじゃない」

「‥‥うん」

「この行為は汚れを払うものだ」

 ばしゃ‥‥。

「‥‥そう、だから貴重な曇りの日にしか来ないのね」

「‥‥そういう‥‥‥‥こと‥‥さ」

 ばしゃ‥‥。


to be continued ... ?


感想等々は掲示板メールまでお願いします。
感想やご意見は書き手の力の源です!


ASF #29 - ASF #30 - ASF #31

戻る