1999/07/27 公開
担当:カルネアデス


機動戦艦ナデシコ

これから (仮称)


#06 『発動』


白鳥ユキナ「のど乾いちゃった、なんか買ってくるね。」

そらきた。
この科白は「2人っきりにして」というものだ。
僕が買い物に行くついでにハーリー君を連れ出さなくては。
こういう場合、そういうのが基本(?)なんだ。

アオイ・ジュン「僕が行くよ。」

それとなくハーリー君に目配せする。
ハーリー君はボーっと僕を見つめていたが、閃(ひらめ)いたように立ち上がった。

マキビ・ハリ「それじゃあ、僕も行ってきます。」



ジュンとハーリーは飲み物を買いに行った。



ルリとユキナはベンチに腰をかける。

白鳥ユキナ「楽しい?」

ホシノ・ルリ「ええ、とっても。誘ってくださって、ありがとうございます。
                  でも……よかったんですか? 私達がいて?」

白鳥ユキナ「そんなの気にしなくていいわよ。」

ホシノ・ルリ「……でも、さっきのジュンさん。」

白鳥ユキナ「ねぇ、やっぱり待っているの?」

その質問をかき消すように、いきなりきりだすユキナ。

ホシノ・ルリ「いきなり何ですか? ユキナさん。」

白鳥ユキナ「いきなりとか、そういうのはどーでもいの。 で、どうなの?」




――――――――――――――沈黙




『やっぱり艦長になったからかな?』

こんな時に嫌なことを思い出してしまった。

でも……後には引けない!!

ダメよユキナ。そんなに弱気じゃ…………。
私は木連の白鳥九十九の妹、一度 『こうなの!』 と決めたことは、
必ず成し遂げるのよ!
お兄ちゃんだって絶対にそう思うハズよ!!
中途半端が一番いけないんだから!!!

現在、彼女は自己暗示(?)をかけている。
ある意味、木連の人は自己暗示が特技だと思われるがちなのは、
これのためだろう。

(木連では 『ゲキ・ガンガー』 というアニメが聖典になっているため)



白鳥ユキナ「…………。」

ホシノ・ルリ「え?」

ユキナの方に向きなおすルリ。

白鳥ユキナ「もう一回言うわ。ハーリー君のこと、どう思ってるの?」

ホシノ・ルリ「……私と同じような境遇だからでしょうか……弟みたいなものです……ハーリー君は……。」

『やっぱりね』 というような表情(かお)をするユキナ。
ベンチにおもいっきりもたれて、伸びをするユキナ。

白鳥ユキナ「ほんっと、ナデシコクルーって 『バカ』 ばっかりよねぇ……。」

ハルカ・ミナト「はいは〜い、そこまでそこまで……あんたも 『バカ』 の一人でしょ?」

声は正面から聞こえた。

ユキナがベンチにもたれかかっていた隙に接近したようだ。

ホシノ・ルリ「ミナトさん……。」

白鳥ユキナ「みっ、ミナトお姉ちゃん!?」

いきなり、ユキナの右手をつかむミナト。

ハルカ・ミナト「悪いわね、ルリルリ。 ちょっとこの娘(こ)借りるわ!」

白鳥ユキナ「いや! はなしてよ!」

強制連行(?)されるユキナ。

白鳥ユキナ「何でこんなところにいるのよ!」

ハルカ・ミナト「あんたが変な事しないように見張ってたのよ!

じと目になるユキナ 。

白鳥ユキナ「ミナトさんに、のぞき趣味あったなんて……うるうる……。」


呆気(あっけ)にとられたルリ。
その前に作業服を来た男がやってくる。
その容姿からしてこの遊園地の従業員らしい。
帽子を深くかぶっているうえにサングラスまでしているので、顔は識別でき無い。

従業員「すいません。 ここ空いてますか?」

ホシノ・ルリ「え? あっ……はいどうぞ……。」

従業員「これはすいません。 よいしょっと……。」



ホシノ・ルリ「…………。」

従業員「…………。」



不意に従業員がルリに話し掛ける。

従業員「今日は楽しいですか?」

帽子を脱ぐ従業員。

ホシノ・ルリ「え!? あっ……貴方は……。」

従業員「お久しぶり、ルリちゃん。」

そこには、記憶喪失の姿があった。

to be continued ...


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