1999/10/17 公開
担当:カルネアデス


機動戦艦ナデシコ

これから


#17 Ver.β


女性を見下していた男が、
記憶喪失の方に向き返ると同時に刃物をかざし飛び掛かる。

男「滅。」

記憶喪失「くっ!!!!」

刃物による連撃からの蹴りを、銃を握った手に受け、銃が宙を舞う。

記憶喪失「しまった!」

その蹴りの勢いを利用した、刃物を握った右手で裏拳が記憶喪失にせまる。

『ガキィィィィィ』

金属がぶつかり合う音が鳴る。

記憶喪失「はぁ、危ないな。」

男「…………。」

記憶喪失の右腰には銃が、左腰には棒が携帯されていた。
その左腰の棒で間一髪、刃物を受け止める。

そのまま腰を落とす事により、受けている力を逃がしつつ、足払いをかける。

男はその足払いを軽く後ろに飛んでかわす。

間髪入れずに距離を詰める記憶喪失。

男「笑止!」

記憶喪失の上段からの振り下ろしは、軽く受けられて、それ以降の攻撃もすべて受けられてしまう。

記憶喪失「くそ、こうなったら。」

記憶喪失の回し蹴りを最小の行動でかわす男。
そこに回し蹴りの勢いを利用した裏拳が男を襲う。

この裏拳も最小の行動で流す男。

……のはずだったが、

『バキィィィ』

男「ヌウ!」

左頬に衝撃を受ける男。

記憶喪失の右腕には先ほどの棒が握られているが、先ほどの長さの2、3倍は長くなっている。
柄(つか)の部分にボタンらしき物が確認でき、それにより伸縮が可能なものだと推測できる。

男「ふん、不覚を取ってしまったようだな。」

男は 『ぺっ』 っと血を吐き捨て、にやりと笑う。

男「なかなか楽しませてくれる。」

男の不適な笑みに、寒気を覚える記憶喪失。

記憶喪失「…………。」

ふと男の視界に女性がいた辺りにボソンの光芒(こうぼう)が見え隠れする。

男「逃亡者をかたずけるのが先決。」

男もボソンジャンプの予兆に入る。

北辰「我が名は、北辰。汝の名は?」

記憶喪失「……ななしだ。」

北辰「……ななし? まあいい。いずれ近い将来、刃を交わすときも来よう。」

意味ありげな科白(せりふ)を残し、ボソンジャンプする北辰。



記憶喪失は数分間、構えたままで立ち尽くしていた。

心残りなのはあの女性が無事に生き延びたのだろうかということ……。

戦闘中にさりげなくC・Cを落としたのに(もちろん故意に)、気付いてくれたのはよかったんだけど。
僕の方が彼女に助けてもらったのではないか? と考え込む記憶喪失であった。

to be continued ...


あとがき

はい更新です、もうべたですが、男は北辰でした(汗)
さらにべたですが、あの棒はウリバタケの発明品です。
まだまだ第一部の時に書いていたところには程遠い……。

何やってたんだろうね、私は。


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