1999/12/19 公開
担当:カルネアデス


機動戦艦ナデシコ

これから


#20 Ver.β


――ネルガル本部。

プロスペクター「これはこれは記憶喪失さん、どうなさいましたか?」

記憶喪失「こんにちは、プロスさん。」

僕を一瞬だけ、一瞥(いちべつ)して作業の続きをするプロスさん。

プロスペクター「やややや、顔色が悪いですよ?」

なっ……一瞬見ただけだったのにばればれ……か。

記憶喪失「はぁ、実は相談が……。」

記憶喪失「あ、ありがとうございます。」

プロスさんがコーヒーを持ってきてくれた。

プロスペクター「まあ、それでも眺めて落ち着いてください。」

……眺めて?

記憶喪失「はい、いただきます。」

取り合えずコーヒーに手をつける。
……何か一段と不味(まず)い……いや、苦(にが)いんだけど。
気が重いからだろうな……だから眺めて、と言ったのか?





僕はピースランドでの出来事をプロスさんに全て話した……。





プロスペクター「……そんな事が。この事はルリさんには?」

記憶喪失「言いたくないですよ、こんなことは。」

『ふむ、そうですなぁ。』 とプロスさんが肯(うなず)く。

プロスペクター「私めなんかを頼ってくださるとは、光栄ですな。」

眼鏡の中心を中指で押し上げるプロスさん。

記憶喪失「軍に報告するのはやっぱり……。」

僕はプロスさんから顔を背(そむ)けた。

プロスペクター「そうですなぁ、『あのシャトル事故』 と関係がないとは言い切れないところもありますな。」

記憶喪失「…………。」

プロスペクター「…………。」

やはりこれも言っておいた方が良い……な。

記憶喪失「もしかしたら、イネスさんも狙われるのでは?」

プロスペクター「……ふむ、可能性はありますな、わかりました。会長と相談します。」

記憶喪失「すいません。」

不意にプロスさんの眼鏡が光る。

プロスペクター「いやいや、臭い科白(せりふ)ですが、仲間でしょ、『ナデシコ』 に乗っていたと言う。」

記憶喪失「ぷっ、プロスさんにはその科白、似合いませんよ。」

プロスさんが意外な科白を言ったため、不覚にも吹き出してしまった。

プロスペクター「ははは、そうでしょうなぁ。わかっていながら言ってみました。」

口元をゆるめるプロスさん。

to be continued ...


あとがき

今年最後の更新でございます、乱筆乱文等々な、私の作品を読んでくださり、ありがとうございました m(_ _)m

今回も掲示板に感想を頂きました。 U HPのBさん、ありがとうございます m(_ _)m (一応伏せ字にしておきますね)

「記憶喪失くんの優しさが満遍なくでていてよかったです(^-^) ルリにゃんにしっかりしてもらわないとね!」

……こうやって書いてて楽しいのですが、記憶喪失君だけでここまで書けるものですねぇ、と(冷汗)

これも空白の3年間があったおかげかと、思っています。
記憶喪失君の行動は何か説明不足かなと思いましたが、察してくれた人がいてくれましたので……。

言葉足らずですが丁寧に読んでくださって、ありがとうございました m(_ _)m


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