――ネルガル本部。 プロスペクター「これはこれは記憶喪失さん、どうなさいましたか?」 記憶喪失「こんにちは、プロスさん。」 僕を一瞬だけ、一瞥(いちべつ)して作業の続きをするプロスさん。 プロスペクター「やややや、顔色が悪いですよ?」 なっ……一瞬見ただけだったのにばればれ……か。 記憶喪失「はぁ、実は相談が……。」 記憶喪失「あ、ありがとうございます。」 プロスさんがコーヒーを持ってきてくれた。 プロスペクター「まあ、それでも眺めて落ち着いてください。」 ……眺めて? 記憶喪失「はい、いただきます。」 取り合えずコーヒーに手をつける。 ……何か一段と不味(まず)い……いや、苦(にが)いんだけど。 気が重いからだろうな……だから眺めて、と言ったのか? 僕はピースランドでの出来事をプロスさんに全て話した……。 プロスペクター「……そんな事が。この事はルリさんには?」 記憶喪失「言いたくないですよ、こんなことは。」 『ふむ、そうですなぁ。』 とプロスさんが肯(うなず)く。 プロスペクター「私めなんかを頼ってくださるとは、光栄ですな。」 眼鏡の中心を中指で押し上げるプロスさん。 記憶喪失「軍に報告するのはやっぱり……。」 僕はプロスさんから顔を背(そむ)けた。 プロスペクター「そうですなぁ、『あのシャトル事故』 と関係がないとは言い切れないところもありますな。」 記憶喪失「…………。」 プロスペクター「…………。」 やはりこれも言っておいた方が良い……な。 記憶喪失「もしかしたら、イネスさんも狙われるのでは?」 プロスペクター「……ふむ、可能性はありますな、わかりました。会長と相談します。」 記憶喪失「すいません。」 不意にプロスさんの眼鏡が光る。 プロスペクター「いやいや、臭い科白(せりふ)ですが、仲間でしょ、『ナデシコ』 に乗っていたと言う。」 記憶喪失「ぷっ、プロスさんにはその科白、似合いませんよ。」 プロスさんが意外な科白を言ったため、不覚にも吹き出してしまった。 プロスペクター「ははは、そうでしょうなぁ。わかっていながら言ってみました。」 口元をゆるめるプロスさん。 |
あとがき 今年最後の更新でございます、乱筆乱文等々な、私の作品を読んでくださり、ありがとうございました m(_ _)m 今回も掲示板に感想を頂きました。 U HPのBさん、ありがとうございます m(_ _)m (一応伏せ字にしておきますね) 「記憶喪失くんの優しさが満遍なくでていてよかったです(^-^) ルリにゃんにしっかりしてもらわないとね!」 ……こうやって書いてて楽しいのですが、記憶喪失君だけでここまで書けるものですねぇ、と(冷汗) これも空白の3年間があったおかげかと、思っています。 記憶喪失君の行動は何か説明不足かなと思いましたが、察してくれた人がいてくれましたので……。 言葉足らずですが丁寧に読んでくださって、ありがとうございました m(_ _)m |
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