――誘拐犯のアジト。 記憶喪失「…………。」 僕は今、敵の本拠地に潜入している。 しかし腑に落ちない点がある、それはやけに警備が薄い……と言うより、零に等しい。 すんなり潜入できなかったら、入り口で暴れて、そのまま内部に突入。 内部に入って作戦の合図を出す……予定だったんだけど。 記憶喪失「…………。」 でも……でもこれって、囮というのか陽動というのか先鋒というのか……。 記憶喪失「…………。」 本当に敵の本拠地なのだろうか? ……別にゴートさん達を疑っている訳ではないんだけどねぇ。 記憶喪失「……ふぅ。」 こうしていても始まらないので、作戦の合図の準備にとりかかる。 作戦の合図―――『瓜』という文字が入った爆発物を取り出す。 記憶喪失「彼が作ったんだろうな、だからこのマーク……。」 その刹那(せつな)、脳裏に、 『まさかこれほどの威力があろうとは……。』とわざとらしく語る、 ウリバタケさんの姿が浮かんだ。 記憶喪失「真田さんの科白通りになりませんように。」 と、念仏を唱えるように何度も口にしながら、爆発物を仕掛けた。 よし、これだけ離れればいいだろう……にしてもほんとに誰もいないのか? 後はこの起爆用のスイッチを……。 女性「ああっ、私の王子様。」 記憶喪失「!?」 僕は背後から『王子様』と呼ばれ戸惑い―――というより愕(おどろ)いて、 その動揺したその隙を突くように、背中から抱きつかれた。 記憶喪失「ちょちょっと……。」 『カチッ。』 記憶喪失「……え?」 『ドカァァァァァァァァン!!!』 記憶喪失「ウリバタケさんのバカぁぁぁ〜〜っ!!!」 案の定、瓜マーク入りの爆発物はお約束の威力を発揮(?)して、作戦の合図となった。 それも知らない女性の手によって『救出作戦』は幕を開けた……。 記憶喪失「けほけほ……大丈夫?」 『ガラガラ……。』 僕の背中から瓦礫が滑り落ちる。 女性「…………。」 僕は爆発の余波から彼女をかばった……かばう? 記憶喪失「ああ、ごめん……。」 僕は女性を覆う態勢から離れ、手を取って立ち上がらせる。 女性「……また、失敗したのかしら?」 記憶喪失「……へ?」 女性「調合を間違えたのよ、多分。」 記憶喪失「は、はぁ。」 いつもこんな爆発があるということかな? ……そのせいで通路には警備員もいないのか? 女性「…………。」 記憶喪失「…………。」 女性「…………。」 記憶喪失「…………。」 き、気まずい……。 女性「あああああああああああ!!!」 ヤバイ! 女性「あああああああああああっ…………私の王子様。」 記憶喪失「ちょ、ちょっと……。」 女性「さあ、行きましょう。」 『グイッ。』 記憶喪失「えっ? ちょっと、放してくださいよ! くっ、なんて力だ……。」 女性「幸せになりましょうね、私の王子様。私はアクアよ。」 僕は【アクア】と名乗った女性に、(多分)敵の本拠地の中を引きずりまわされた……。 |
あとがき こんにちは、前回『陽動』と書いたは良いが、 どないしようとマジで思っていた、カルネアデスです(汗) ここの後半は昔書いたところだったのですが、前半部分は空白でした。 記憶喪失君の念仏はアレですが‥‥(汗) 次の書いたときに大幅修正掛けるかもしれませんが(汗) あと、『機動戦艦ナデシコ これから』の文字形式を、 一応統一の為に、修正を掛けた事を報告しておきます。 |
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