2000/03/26 公開
担当:カルネアデス


機動戦艦ナデシコ

これから


#23 Ver.β


――誘拐犯のアジト。

記憶喪失「…………。」

僕は今、敵の本拠地に潜入している。
しかし腑に落ちない点がある、それはやけに警備が薄い……と言うより、零に等しい。

すんなり潜入できなかったら、入り口で暴れて、そのまま内部に突入。
内部に入って作戦の合図を出す……予定だったんだけど。

記憶喪失「…………。」

でも……でもこれって、囮というのか陽動というのか先鋒というのか……。

記憶喪失「…………。」

本当に敵の本拠地なのだろうか?
……別にゴートさん達を疑っている訳ではないんだけどねぇ。

記憶喪失「……ふぅ。」

こうしていても始まらないので、作戦の合図の準備にとりかかる。
作戦の合図―――『瓜』という文字が入った爆発物を取り出す。

記憶喪失「彼が作ったんだろうな、だからこのマーク……。」

その刹那(せつな)、脳裏に、

『まさかこれほどの威力があろうとは……。』とわざとらしく語る、

ウリバタケさんの姿が浮かんだ。

記憶喪失「真田さんの科白通りになりませんように。」

と、念仏を唱えるように何度も口にしながら、爆発物を仕掛けた。



よし、これだけ離れればいいだろう……にしてもほんとに誰もいないのか?
後はこの起爆用のスイッチを……。

女性「ああっ、私の王子様。」

記憶喪失「!?」

僕は背後から『王子様』と呼ばれ戸惑い―――というより愕(おどろ)いて、
その動揺したその隙を突くように、背中から抱きつかれた。

記憶喪失「ちょちょっと……。」

『カチッ。』

記憶喪失「……え?」

ドカァァァァァァァァン!!!

記憶喪失「ウリバタケさんのバカぁぁぁ〜〜っ!!!」



案の定、瓜マーク入りの爆発物はお約束の威力を発揮(?)して、作戦の合図となった。
それも知らない女性の手によって『救出作戦』は幕を開けた……。

記憶喪失「けほけほ……大丈夫?」

『ガラガラ……。』

僕の背中から瓦礫が滑り落ちる。

女性「…………。」

僕は爆発の余波から彼女をかばった……かばう?

記憶喪失「ああ、ごめん……。」

僕は女性を覆う態勢から離れ、手を取って立ち上がらせる。

女性「……また、失敗したのかしら?」

記憶喪失「……へ?」

女性「調合を間違えたのよ、多分。」

記憶喪失「は、はぁ。」

いつもこんな爆発があるということかな?
……そのせいで通路には警備員もいないのか?

女性「…………。」

記憶喪失「…………。」

女性「…………。」

記憶喪失「…………。」

き、気まずい……。

女性「あああああああああああ!!!」

ヤバイ!

女性「あああああああああああっ…………私の王子様。」

記憶喪失「ちょ、ちょっと……。」

女性「さあ、行きましょう。」

『グイッ。』

記憶喪失「えっ? ちょっと、放してくださいよ! くっ、なんて力だ……。」

女性「幸せになりましょうね、私の王子様。私はアクアよ。」

僕は【アクア】と名乗った女性に、(多分)敵の本拠地の中を引きずりまわされた……。

to be continued ...


あとがき

こんにちは、前回『陽動』と書いたは良いが、
どないしようとマジで思っていた、カルネアデスです(汗)

ここの後半は昔書いたところだったのですが、前半部分は空白でした。
記憶喪失君の念仏はアレですが‥‥(汗)

次の書いたときに大幅修正掛けるかもしれませんが(汗)



あと、『機動戦艦ナデシコ これから』の文字形式を、
一応統一の為に、修正を掛けた事を報告しておきます。


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