2000/06/04 公開
担当:カルネアデス


機動戦艦ナデシコ

これから


#24 Ver.β


僕は見知らぬ――少なくとも敵のお嬢さんに、豪華な食事に招待されてしまった。

アクア・クリムゾン「さあ、私の愛しい王子様。早くお食べになって。」

テーブルの上には豪華な料理がならんでいる。

記憶喪失「は、はぁ……。」

取り合えず様子を見る為、目の前にあった肉まんを食べる事にした。

記憶喪失「それでは、いただきます……。」

敵の基地で何やってるんだか……。

アクア・クリムゾン「どう? 美味しい?」

満面の笑みで聞いてくるアクアさん。

記憶喪失「はっははは……。」

おいおい、なんなんだこの和(なご)みようは?

記憶喪失「…………。」

アクア・クリムゾン「…………。」

ひょい、ぱく。

記憶喪失「…………。」

アクア・クリムゾン「…………。」

僕は気が気ではない、当然だけどね……。

記憶喪失「…………。」

ひょい、ぱく。

アクア・クリムゾン「…………。」

そのせいか、言葉を発しない行動の裏返しに手が動き、食べ物を口に運ぶ。

記憶喪失「!?」

不意に視界がぼやける。首を振ってこの状態から立ち直ろうとする。

記憶喪失「あれ?」

アクア・クリムゾン「ふふふ。」

アクアの様子が先ほどと違うように感じ、自分の中に沸き上がる疑問が咽から這い出してきた。

記憶喪失「なっ、何を入れたんだ?」

アクア・クリムゾン「え? なにって、ナノマシンを活動を活性化させる薬が入っているのよ。」

僕は勢い良く立ち上がる……が、まっすぐ立っていられずにテーブルにもたれかかる。

記憶喪失「なっ、なんだって!?」

笑顔で言うお嬢、くそ油断大敵だ……ったな、今更ながら。

アクア・クリムゾン「ああっ、ごめんなさい。私の愛しい王子様。
                          でも、この悲劇を乗り越えてこそ幸せが……あら?」

アクアの目の前には誰も居なかった。
ただ、彼が居た周囲にはほのかに蒼い「なにか」が漂っていた。



僕はアクアから逃げ出した。
何やら、妄想にふけっていたらしく、追ってこない……らしい。

先ほど、勝手にジャンプしてしまった。
これが先ほどの……? でも、この状態では……いずれ捕まる。

ゴート・ホーリー「いざとなったら君だけでジャンプしたまえ。」
不意にゴートさんの台詞が脳裏を走る。

まだ駄目だ、合図を出しただけで全く役に立っていない……。

それに、イツキやアキト……ユリカさんも……。

どんっ!

記憶喪失「!?」

曲がり角だったので誰かとぶつかった。この状況化だと敵しかいない!

言う事を聞かない身体は、条件反射的に銃を握り、対象目掛けて銃口を晒す……あれ?

かちゃり……。

目の前に立っている男は、
木連服にネルガルシークレットサービス特有の(だと僕は思っている)
サングラスを装備している。

男「……かかしか。陽動になっていないな。」

記憶喪失「か、かかし……?」

陽動と口に出した‥‥? もしかして味方?

男「私は燕、もう一人の囮という訳だ。」

……囮?

プロスペクター「出来たら連れていきたくないので、まぁ、我慢してください。」
……もしかして、僕は居ても居なくてもいいようになっていたの?

燕「……何だ、飛び入りの囮だけあって、私の事は聞かされていないのか?」

僕は「こくっ」……と頷しかなかった。

燕「それはご愁傷様だな……そろそろ銃を下ろしてくれないかな?」

記憶喪失「あ、ああ……。」

燕「……っと、ちょっと借りる。」

銃を下ろそうとした途端、燕と名乗った男が僕の銃を持った手を掴み、引き金をひく。

ばぁぁぁん!!

どさっ……。

燕さんの遥か後方……僕の正面で、僕の銃から吐き出された弾に身を晒したものが崩れる。

燕「どうやら、我々を油断させるために薄かったようだな。」

今、後を見なかったよな?この人……と、
先ほどの出来事で棒立ちになっていた僕を、燕さんが見つめている。

燕「……いつでもジャンプ出来るようにしているわけか?」

記憶喪失「は?」

燕「顔が光っているぞ、パターンがな。」

これがさっきの……。

記憶喪失「そういう訳では……ちょっと油断しまして。」

燕「……阿呆が。」

記憶喪失「…………。」

雑談をしていたので、いままで身を潜めていた敵さんに囲まれていた。

燕「……で、そのまま退くか?」

サングラス越しだけど、この状況を冷静に見つめているように見える燕さん。

記憶喪失「まさか、まだやれます。」

燕さんと背中合わせの位置に立ち、臨戦体勢をとる。

燕「仕方がないな、一緒に行動するか……お、おい!?」

僕を中心に光が広がっていく……。



またジャンプしてしまったらしい……。

燕「……おい、いきなりだな。」

記憶喪失「す、すいません……。」

燕「……油断の結果がこれか?」

記憶喪失「ええ、ナノマシンを活性化させる物質を盛られました。」

燕「盛られたってかかし……この状況化でよく食事なんか……。」

燕さんは呆れ顔……当然だろうな。次の瞬間、燕さんの目つきが変わる。

記憶喪失「燕さん?」

燕「一番会いたくないのに、会ってしまたようだな。」

燕さんの目線の先に視線をやる。

男「久しいな、ななし……。」

燕「!? かかしと面識があるのか!?」

男「誰かと思えば月臣……貴様も居たのか。」

記憶喪失「ほ……北辰!?」

僕達の目の前には、ルリちゃんに付いていった先の研究所で出会った男が居た。

北辰「ふふふ、楽しませてもらおう……か?」

燕が北辰めがけて飛び掛かる。

燕「おまえとあいつの関係は知らん!」

燕の右飛び蹴りを、右から左への動きをした左手で弾く北辰。

燕「……が、ここはまかせてもらおうか!!」

右足を流された反動で身体を捻り、左蹴りを操りだす燕に対し、
北辰は先ほどの左手の動きを利用して腰を捻り、左蹴りを操りだす。

互いの左蹴りは相殺する……ように見えた。

北辰「ぬん!!」

北辰の気合いのこもった声と共に、左足を地面めがけて振リ切った。
燕さんは壁めがけて吹っ飛ばされる。

燕「ちぃ!?」

素早く体勢を整え、勢いと威力を殺すため両手を地面についた刹那に一度跳ね、両足で着地する。
左足を振リ切ったため、後ろ向きになったまま、

北辰「ほう……やるようになったな。」

と言って、こちらに向き返る北辰。

to be continued ...


あとがき

こんにちは、カルネアデスです。
えっと‥‥だいぶサボってましたね (^^;

まぁ他の事やって、放心状態(言い過ぎです)とかそういう状態だったので‥‥
ただの五月病だったのかもしてませんが‥‥(冷汗)

今回、書いたは良かったのですが、
どこで切ろうか迷ったのできりが良いところで切りました、
そうするとこんなに多くなってしまいました(笑)

初めのジャンプするところまでは昔書いてあって、それ以降は今回書いた分です。

ホントはここらで終わらしてぇ‥‥だったのですが、とんでもなく肥大しています(笑)
昨日また変な設定を創ってしまいました(冷汗)

第3部に予定していたものは、波瀬かすみさんのHP、ルリホに投稿してしまいました。
ただ Ruri-Mailer でのメールのやり取りで、
本編公開前にやっていた事の再現を、しただけだったのです‥‥。

詳しくはこちらの 2000/05/24 をご覧ください。
結局、公開方法が迷っていたので、これで良かったかと思っています。

あと、べるりん王国 の美鈴さんより戴いたCGを所々に飾りました。
ありがとうございます m(_ _)m


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