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2000-12-22
takes050
縛めを解かれるアンドロメダ

@niftyのSFカレンダー企画参加作品です。

あがってから公開まで時間があったので、@nifty用バージョンよりサイズが大きいだけでなく、少々手も加わって毛皮のニュアンスや全体のコントラストなどが変ってます。

その他にも色々フィルタで遊んでみました。

そのうちの自分では結構いい感じかな、と思った2枚。

油絵風を狙ったのにいかにもCG加工風なバージョン

月光の夜のバージョン

アンドロメダの習作(女子百景)

ロボット・アンドロメダが大猿ペルセウスとの出会いを語る

私はRアンドロメダ017、ピュグマリオンクラフト社製の女性型汎用ロボット。

今日は2999年10月1日。2001年からほぼ千年。地球人類は人口を最盛期の1%にまで激減させた痛手から立ち直りつつあった。

それでも、地球上の大部分は人類が居住していない「暗黒大陸」である。

私を購入した主人とともに乗ったエアプレーンが墜落したのも、そんな無人島の一つだった。

3百年も昔に、絶滅した生物圏を復活させる試験場だったインファント島。1世紀をかけて千年前のジャングルを復活させたが、かの地から帰る人も絶え、ここ2百年足を踏み入れた人間はいない・・・・と言われていた。

墜落した飛行機は大破し、私以外に動く機械も生き残った人間もいない。

事故からまもなく、ジャングルの奥から、いないはずの人間が何十人も現れた。飛行機の残骸を調べ、めぼしい物を運びはじめる。私は無抵抗のまま荷物のように縛り上げられ、密林の奥に運びこまれた。

彼らは半裸に刺青。まるで2千年以上も前の人類のような風俗だ。事情を説明して助けを求めたが言葉が通じないのか反応はない。

宗教的祭儀の生贄にでもされるのかと予想したが、ロボットのつねとして、あからさまに反抗したり逃げ出したりはできない。私が一番に守り、従わねばならない主人はもうこの世にいないのだ。

密林の古木の1本に私を鎖で縛り付けると、彼らは去って行った。

強靱な鋼鉄製の鎖は、重作業用仕様でない私の出力では切ることができない。

やがて樹皮をこするかすかな音がすると、樹上から異形の生き物が現れた。輝く鱗に覆われた長大な胴体、小ぶりの頭部の口が開くと鋭い牙が白く光る。絶滅したはずの危険な爬虫類、巨大な錦蛇だ。胴体の一番太い部分は直径2フィート、長さは50フィートを超えている。

危険を感じて足を引っ込めようとしたのがいけなかった。私の動きに反応して、大蛇は電光のようなスピードでとびかかってきた。

私のスネに牙をたてると足首に巻きついて締めつけてくる。被覆があっけなく破れると火花を散らしてコードが引き千切れ、金属骨が音を立てて飛び出してくる。

恒久的機能停止=ロボットにとっての「死」を覚悟したとき、頭上の光がさえぎられ、枝を鳴らす大きな音とともに樹上から巨大な影が舞い降りてきた。その影は大蛇の首を無造作につかむと私から引き離した。激怒した大蛇は自分を捕らえた相手に牙をたてるが、影は全く痛痒を感じないようだ。蛇を握った毛むくじゃらの手に軽く力が入ったように見えた途端、大蛇の頚部が鈍い音を立て、禍々しい生き物はぐったりと動かなくなった。

化物蛇をつかみ殺した怪物の、二つの目が私をじっとのぞきこんできた。

そいつは巨大な巨大な猿、信じられない大きさのマウンテンゴリラだった。

偉大な猿は私の腕より太い指を器用に使って、私を縛めている鎖を細紐のように簡単に外していった。

その指の動きは奇妙にやさしかった。

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