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2012年01月01日(日) 謹賀新年【本】私的年間ベスト10【2011】[本]

あけましておめでとうございます。

辰年の年賀状はこちらです。

例年通り昨年読んだ本のベスト10などを以下に。
(今年も順不同)

  • 移行化石の発見」ブライアン・スウィーテク(文藝春秋社)
  • キノコの不思議」森毅編(光文社カッパサイエンス)
  • 幕末下級武士の絵日記」大岡敏昭(相模書房選書)
  • ルー=ガルー<忌避すべき狼>(上下)」京極夏彦(講談社文庫)
  • 日本近世の紀元ー戦国乱世から徳川の平和へ」渡辺京二(洋泉社新書)
  • 怖い絵(1・2・3)」中野京子(朝日出版社)
  • おまえさん(上下)」宮部みゆき(講談社文庫)
  • 楽園への疾走」バラード(創元SF文庫)
  • 鰐〜ユーモア小説集」ドストエフスキー(講談社文芸文庫)
  • 水の城―いまだ落城せず」風野真知雄(祥伝社文庫)

次点

  • ダンシング・ヴァニティ」筒井康隆(新潮社文庫)
  • 太陽レンズの彼方へ」チャールズ・シェフィールド(創元SF文庫)
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2011年12月30日(金) 7月〜12月読了本[本]

【7月の読了本】

  • 『ナイルに死す』アガサ・クリスティ(新潮文庫)[再]
  • 『移行化石の発見』ブライアン・スウィーテク(文藝春秋社)
    ダーウィンの「進化論」の反論「移行中(進化途中)の化石がない」への反論。進化論史としても充実しているし、著者は古生物学者なので化石という事物に裏付けられた論理展開はわかりやすくて面白い。おすすめ。
  • 『同心亀無剣之介3―恨み猫』風野真知雄(コスミック文庫)
  • 『同心亀無剣之介4―きつね火』風野真知雄(コスミック文庫)
  • 『ポケットにライ麦を』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『バートラム・ホテルにて』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『スリーピング・マーダー』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『白昼の悪魔』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)[再]
  • 『おばちゃんくノ一小笑組』多田容子(PHP文庫)

【8月の読了本】

  • 『忘られぬ死』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『海鳴り(上下)』藤沢周平(新潮文庫)
    [再]いわゆる世話物というジャンルの時代小説だけど、不倫小説・恋愛小説・ビジネス小説として最高のレベルの小説。20年以前に読んでるけど、自分には歳取って子供育て上げてから読んではじめてわかる種類の小説でありました。
  • 『忍法八犬伝』山田風太郎(徳間新書)[再]
  • 『秀吉はいつ知ったか』山田風太郎(筑摩書房)
    山田風太郎のエッセイで「参差錯落」という言葉を知った。「しんしさくらく」と読む。鴎外が日本の近代の町を称した言葉で「ふぞろいで乱雑なさま」という意味だそうな。
    また鴎外は明治日本を「普請中」と言った。百数十年が経ってもいまだ普請中だが、度々地震だの空襲だので壊されるんだから仕方がないと言えば仕方がない。
  • 『殺人は容易だ』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『奇策』風野真知雄(祥伝社文庫)

【9月の読了本】

  • 『願い星、叶い星』アルフレッド・ベスター(河出奇想コレクション)
    やはり「昔を今になすよしもがな」が素晴らしい。昔創元の『ピーアイマン』で読んだ時よりずっと胸に迫る。
    ハリウッドもPKディックばかりでなく、ベスターの「虎よ!虎よ!」や「分解された男」を映画化すればいいのに。後者の映像化は難しいだろうけど。
  • 『ポアロのクリスマス』クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『黒衣の女』スーザン・ヒル(早川NV文庫)
    雰囲気はまあまあだが、ラストの衝撃弱くコクがない。
  • 『妻はくノ一(10)』風野真知雄(角川文庫)
  • 『淑やかな悪夢』ホラーアンソロジー(創元推理文庫)
    英米女流怪談集という副題だが、内の一編に毎日馬車で手紙を取りに行く有閑婦人が登場する。「とりたててすることのない人々の常として、できるだけ早く手紙に目を通したがったのである」。現代の私も含めとりたててすることのない人々は…ネットに耽溺かな。
    出来はもう一つ。創元の『怪奇小説傑作集』も英米編の1〜3はあまり怖くはない。サドのロドリグやモーパッサンの手を含む仏編とゴーゴリの妖女を含む独露編がいい。

【10月の読了本】

  • 『シャーロック・ホームズの愉しみ方』植村昌夫(平凡社新書)
    シャーロッキアンの論文紹介の中では、やはりレックス・スタウトの「ワトソンは女だった」が秀逸。ただの女ではなく「あの女(ひと)」なんだから愉しくなってくる。
    アマゾンのコメントでは格闘技関係の薀蓄がくどくてうんざりというのが多かったが、私にはここが実に面白い。もちろんモリアーティを退治したバリツについてなのだが、20世紀初頭の英国で五百戦不敗を誇った柔術家谷幸雄の物語など、だれか小説か漫画にしないものかな。
    谷幸雄の得意技は飛びつき腕十字だったようだ。
  • 『第三の女』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『マギンティ夫人は死んだ』アガサ・クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『月の光のために』風野真知雄(実業之日本社文庫)
  • 『怖い絵(1、2,3)』中野京子(朝日出版社)
    著者の美術プロパーでない歴史家の視点での語りが面白い
  • 『おまえさん(上下)』宮部みゆき(講談社文庫)
    ファンタジー臭のない宮部みゆきはやはりうまい。後半は「もてない男」の生き方についてじっくり書きこまれているが、もてない男に救いはない。やれやれ。

【11月の読了本】

  • 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉(小学館)
  • 『ルー=ガルー<忌避すべき狼>(上下)』京極夏彦(講談社文庫)
  • 『鳩のなかの猫』クリスティ(早川ミステリ文庫)
  • 『塚原卜伝十二番勝負』津本陽(PHP研究所文庫)
  • 『ピース』樋口有介(中公文庫)
    ストーリーテリングもキャラ造形もうまくてなかなか面白いが。ラストのあいまいさが深みに繋がらす、犯人の動機に説得力が欠けるだけになってしまった。傑作には届かず。
  • 『キノコの不思議』森毅編(光文社カッパサイエンス)
    中身は玉石混淆だが、やはり専門家の話が面白い。
    (植物の内)動物に食われないように進化したのが樹木で、食われても良いように進化したのが草木だ。
    動物はセルローズを分解できない(セルラーゼ酵素を持たない)。シロアリやアリはキノコを栽培し、牛馬は腸内に菌類を住まわせてセルラーゼを利用する。人間がもしセルラーゼ菌類を腸内に持って樹木を食えるように進化していたら、とっくに森林や草原を食い尽くしていただろう。
    で、シロアリが塚の中で栽培するキノコ(シロアリタケ)がおいしいのだそうだ。松茸ぐらいの大きさで味はシメジに似ていて、煮ても焼いても美味いらしい。一般的ではないが沖縄でも食べるらしい。うーん、食いたい。

【12月の読了本】

  • 『ルー=ガルー2(上下)』京極夏彦(講談社文庫)
  • 『お葬式』伊丹十三(文藝春秋社)
    [再]。NHKで久しぶりに映画を見たら読みたくなった。映画を撮るということまるごとのエッセイ。面白い。
  • 『芥川龍之介全集第三巻』芥川龍之介(ちくま文庫)
    「素戔嗚尊」力作
  • 『芥川龍之介全集第四巻』芥川龍之介(ちくま文庫)
    注が充実しているのはいいのだが、「左官」とか「戦利品」とか、説明するまでもない言葉が半分以上を占めているのはどうなのだろう。
    底本は1971年、文庫初版も1987年だから、そんな頃から、多くの日本語が説明を要するようになる、と予想していたのだろうか。大正以前の小説はそろそろ古文扱いだな。
  • 『恐竜クライシス』ハリー・アダム・ナイト(創元推理文庫)
    登場する恐竜の種類も恐竜再生の方法もまるっきりジュラシック・パークなんだけど、実はこちらの方が6年も前の作品。クライトンめパクリやがったなの怪作にして快作。
    再読した印象は仲々の隠れた傑作。テイストはB級だけどジュラシック・パークより遥かに猥雑でスピーディで思い切りがよくて面白い。恐竜の暴れっぷり食いっぷり犠牲者の殺されっぷりが半端ない。ちょこっとだけどエロシーンもあり、ジュラシックと違って子供向けファミリー向け配慮はありません。
    一番の違いは恐竜再生の動機。ジュラシックは興行師の遊園地ビジネスに過ぎないが、クライシスの方はよりエキセントリックでマッドサイエンチストらしく、SF者としてはこちらに軍配を上げざるを得ないのでした。
    ただし、この恐竜クライシス(原題:カルノサウルス=肉食恐竜)は、かのロジャー・コーマンに映画化されてしまったのが、知名度でジュラシックに絶対勝てない理由でありましょう。
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2011年06月30日(木) 1月〜6月読了本[本]

【1月の読了本】

  • 『柳生兵庫助4』津本陽(文春文庫)
  • 『柳生兵庫助5』津本陽(文春文庫)
  • 『柳生兵庫助6』津本陽(文春文庫)
  • 『柳生兵庫助7』津本陽(文春文庫)
  • 『柳生兵庫助8』津本陽(文春文庫)

【2月の読了本】

  • 『幕末下級武士の絵日記』大岡敏昭(相模書房選書)
  • 『未成年(上下)』ドストエフスキー(新潮文庫)
    [再] 未熟さということの滑稽さ初々しさ痛々しさをこれほど思い出させられる小説はないな。主人公は今でいう中二病炸裂。自分にも未だに思い当たること大なりで赤面しながら読んだ。初読時は主人公と同年代だったはず。よく恥ずかしくなかったなあ。気がつかないほど中二病重症だったのかも。
  • 『知的生産の技術』梅棹忠夫(講談社新書)
    [再] 似たカテゴリのベストセラー「知的生活の方法」「超整理法」「スーパー書斎のなんとか」みんなくだらなくて捨てたが、これだけは残してあった。名著。40年も前の整理法資料活用法なのに為になる。「術」ではなく「法」「体系」「論理」があるからだろう。

【3月の読了本】

  • 『鰐〜ユーモア小説集』ドストエフスキー(講談社文芸文庫)
    「いまわしい話」悲壮にまでに滑稽にしてグロテスクなドタバタ騒ぎ。まさにドストエフスキー。「鰐」まるで安部公房。「ベッドの下の…」艶笑譚。「いまわしい話」いかにもドストエフスキーなグロテスクなほどに滑稽なドタバタ酒宴の大騒ぎ。大笑いとまではいかないが癖になる切羽詰った面白さ。
  • 『魔天忍法帖』山田風太郎(東京文芸社新書)
    [再]タイムスリップネタは珍しくないけど戦国自衛隊も蒲生邸も現代人が昔に行く。 江戸時代人が戦国時代に行く設定で、時代ギャップを感じてるのは斬新だ。面白れー。
  • 『お庭番地球をまわる』山田風太郎(文春新書)
    [再](1971年)所収の「さまよえる忍者」の一節 「いまの自分は仮の姿だから、本気になれないのである。何でも臨時作業という気がするのである。」小此木啓吾の「モラトリアム人間の時代」が1978年。横文字の名前をつけるかつけないかの違いだけだな。
  • 『自来也忍法帳』山田風太郎(実業之日本社ホリデー新書)
    [再]
  • 『天の川を斬る』山田風太郎(文春新書)
    [再]本書に限らず、山風の絵描く大久保長安像は魅力的。
  • 『べろべろの、母ちゃんは…』宇野鴻一郎(出版芸術社)
    著者の「あたし、感じちゃったんです」以前の官能的な不思議小説集。いわゆる奇妙な味で、うまい小説。さすが芥川賞作家。「初恋の阿部定」「花魁小桜の足」が秀逸。
  • 『翔び去りしものの伝説』都筑道夫(光文社文庫)

【4月の読了本】

  • 『新訳メトロポリス』テア・フォン・ハルボウ(中公文庫)
    あの歴史的SF映画の原作。映画版の真髄である女アンドロイドの妖艶美は皆無だが、物語としては独裁者の人間性描写とか、台詞のない無声映画よりはるかに面白い。1920年代の作品だけに、SFというよりデカダンスロマンという趣。
  • 『ダンシング・ヴァニティ』筒井康隆(新潮文庫)
    相変わらず実験精神豊富な緊密な文体には恐れ入る。繰返し技法は解説には小説によるフリージャズとあり、ジャズに限らず楽曲の構造が元なのは間違いないだろうが、同じことをぐるぐる考える加齢現象を自覚する身としては仲々身近に感じる文体でもありました。
  • 『妻はくノ一(9)』風野真知雄(角川文庫)
  • 『耳嚢(中)』根岸鎮衛(岩波書店文庫)
  • 『ロクス・ソルス』レーモン・ルーセル(平凡社ライブラリー)
  • 『真相』横山秀夫(集英社文庫)
  • 『太陽レンズの彼方へ』チャールズ・シェフィールド(創元SF文庫)

【5月の読了本】

  • 『水の城―いまだ落城せず』風野真知雄(祥伝社文庫)
    ラストの石田三成の述懐が面白い。
  • 『江戸社会史の研究』竹内誠(弘文堂)
    著者は江戸東京博物館館長。人口や地理上の知識の面白い記述もあるが、江戸っ子紀元など我田引水気味で特に目新しい見方もなく、外れ。
  • 『日本近世の紀元ー戦国乱世から徳川の平和へ』渡辺京二(洋泉社新書)
    こちらは大当たり。江戸時代よりそれを生んだ前時代の中世戦国期の考察。専門の歴史学者ではないので先学者によるところが多いが文章や論旨に力があって魅力的。「一向一揆の虚実」が白眉。
  • 『チャールズとカミラ』クリストファー・ウィルソン(イースト・プレス)
    ロイヤルウェディングで一番笑顔が目立ったのがカミラ・皇太子夫人だったので今更だが読んでみた。副題は「本当に好きな人は誰かを発見した愛の物語」というベタなものだが、ダイアナ妃を含む三人の誰に与するものでもない客観的内容。英国上流史を彩る人名多数。
    歴史書のような筆致だが、やはり三角関係の緊張感がなんとも面白い。失礼ながら日本だと猿之助・藤間紫・浜木綿子のお三方を連想。まあ藤間紫はカミラ・コンウォール公爵夫人より美貌では上だが、お二人とも若さでは太刀打ちできない何かの持ち主なんでしょう。それをわかる男でないとあれだが。
  • 『四十郎化け物始末1妖かし斬り』風野真知雄(角川文庫)
  • 『四十郎化け物始末2百鬼斬り』風野真知雄(角川文庫)
  • 『八丁堀育ち』風野真知雄(朝日新聞社文庫)
  • 『四十郎化け物始末3幻魔斬り』風野真知雄(角川文庫)
  • 『同心亀無剣之介1―わかれの花』風野真知雄(コスミック文庫)
  • 『楽園への疾走』J・G・バラード(東京創元新社文庫)
    アホウドリ保護を目指す核実験に反対する女医と少年が主人公で美しい珊瑚礁が舞台、なのになんでこんな恐ろしい話になるんだろう。まるで「蠅の王」みたいだ。やっぱりバラードは一筋縄ではいかんのに、ドキドキしながらするする読まされるのがすごい。
  • 『ふうらい指南―手ほどき冬馬事件帖』風野真知雄(コスミック文庫)

【6月の読了本】

  • 『雨の刺客―手ほどき冬馬事件帖』風野真知雄(コスミック文庫)
  • 『ふうらい秘剣―手ほどき冬馬事件帖』風野真知雄(コスミック文庫)
  • 『同心亀無剣之介消えた女』風野真知雄(コスミック文庫)
  • 『厄介引き受け人望月竜之進 二天一流の猿』風野真知雄(竹書房文庫)
  • 『爺とひよこの捕物帳〜七十七の傷』風野真知雄(幻冬舎時代小説文庫)
  • 『スタイルズの怪事件』クリスティ(角川文庫)[再]
  • 『晩餐館の13人(エッジウェア卿の死)』アガサ・クリスティ(東京創元新社文庫)[再]
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