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08/01/20(日) 『耳嚢』より「金精神の事」
08/01/17(木) 耳袋
08/01/16(水) 二年ぶりの石
08/01/01(火) 謹賀新年
07/12/31(月) 【本】私的年間ベスト10【2007】
07/12/20(木) 塚原卜伝
07/12/03(月) 秋のような初冬のような休日
07/11/29(木) アダムスファミリーの人
07/11/22(木) 『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌展
07/11/03(土) 黒い顔

2008/01/20(日)『耳嚢』より「金精神の事」

耳嚢(みみぶくろ)』を読みはじめた印象は、怪談集というより根岸鎮衛が面白いと思ったことはとりあえず何でも記しておくという、今ならブログのような趣の随筆集のようである。

市井の事件、噂、将軍貴人の逸話(かなりよいしょが入っている)、剣豪の伝説、名所旧跡の縁起、藝談。落語や笑い話の元ネタのような話もある。

中にエロっぽい怪談という、怪物領域向きというか、私好みの話があったので以下に紹介してみる。

現代語訳は不肖私なので、間違いがあるやもしれませんが、ご容赦のほどをお願いします。

*

金精神(こんせいじん)の事

津軽藩の藩士が語るには、藩内にカナマラ大明神といって、黒銅で作った陽物(男根形のこしらえ物)を神体として崇拝し祭っている土地がある。「どういういわれがあるのだ」と聞いてみると、土地の古老が答えるには「昔、この地にひとりの長者がおりまして、夫婦には一人の娘がありました。娘は大変な美人に成長し、その姿の艶麗なることは近隣に比べるものがありませんでした。父母の娘を愛することはたとえようもありません。土地の若者たちは競って贈り物をし、娘を妻にもらい受けようとしましたが、長者には男の子がいなかったため、娘に婿を取ることにしました。しかし、なんたることか、婚姻が整ったその夜に花婿が頓死してしまったのです。その後も何人か婿を入れましたが、いずれも最初の夜に即死したり逃げかえったり結婚が成立した者は一人もいませんでした。両親の驚きは尋常ではありません。娘に聞いてみると『みんな初夜の交わりのときに即死したりおびえたように逃げ出したりするのですが、私にもなぜなのか訳がわかりません』という答えで、父母はこれも何かの因果かと嘆きましたが、逃げ帰った男の一人をつかまえて問いただすと『花嫁の陰中に鬼の牙のようなものがあるのです。私は傷を負って逃げ出したのですが男根を食い切られた者もおるでしょう』と話しました。この話はやがて広がってしまい、娘もつらい思いをしていました。ところが、ある男がこのことを聞き、私が婿になりましょうと申し込んできました。男は銅で陽物を拵えて婿入りしてくると、初夜の閨にその黒銅を持ち込み、まず花嫁の陰中にそれを入れました。例の如く、花嫁の情が高まってくると牙が黒銅に食いついてきました。牙はすべて砕け黒銅を取り出すと一本残らず抜け落ちました。この後、娘は普通の女性となり男と幸せに暮らしたということです。その後、長者の家では黒銅の男根を神として祭り、今にいたるまで崇敬しているのです」と語った。

2008/01/17(木)耳袋

出産した結石の分析と治療のため、耳鼻科で通っていた日大病院の泌尿器科へ行く。鼻血の次は石でお世話になります。

ここから勤務先までの途中に行きつけの古本屋があり、ついつい買ってしまうのは前にも書いた。

今回買ったのは根岸鎮衛著『耳嚢(みみぶくろ)』(長谷川強校注/岩波文庫)。上中下で二千円はお買い得。

ここのとこ体調が悪いのであまり重い本は読みたくない。ので、つれあいに借りた時代小説『耳袋秘帖〜赤鬼奉行根岸肥前』などを読んでいた。まあ、内容はTVの時代劇程度の軽さでなんということはないが、この小説の主人公が実在の南町奉行、根岸肥前守鎮衛(ねぎしひぜんのかみもりやす)

奉行としても有能だったらしいが、江戸の面白い話不思議な話奇妙な話を千編も集めた奇談集『耳嚢』を著わしたことで名高い。宮部みゆきの「霊験お初」シリーズにも登場する。

小説を読んでいるうちに、本物の『耳嚢』を読みたくなっていたので丁度良い。時代小説家のネタ元としては、旧くは『今昔物語』、ちょっと前は松浦静山(まつらせいざん)の『甲子夜話(かっしやわ)』が有名だが、最近はこの『耳嚢』が人気のようだ。

読みはじめたばかりだがなかなか面白い。現代語訳ではないが、平安時代などの古文ではなく江戸期の随筆なので難解な言い回しなども少なく、まずまず読みやすい。一年くらいかけてのんびり読むとしよう。これを読み終わったら、『甲子夜話』をさがしてみようか。


2008/01/16(水)二年ぶりの石

昨年末からずっと調子が悪かったのだが、今朝、排尿時に珍々の付け根に痛みが走った!

これは結石に違いない。二年前のような激痛発作はなかったが、間違いない。あわててもしかたがないので、たっぷり水を呑んで出勤。

会社について早速トイレに行った。しかし、勢いがもう一つだったか、石がせりあがってきた感じはしたのだが、出口まで達せず、途中で停まってしまった。気持ち悪いったらありゃしないが、排水用タンクが空になってしまってはしかたがない。

水、紅茶、お茶をがぶ飲みして昼前に再チャレンジ。

今度は水量十分だったので、ぐりぐりっぽーんという感じで無事発射成功した。やれやれ。

出てきた石は4mm×2mm程度、大きさは二年前のものと大差ないが、二年前のような鋭い角のような部分がなく比較的円い形だったので、激痛がなかったのだろう。

鼻血の次は石。出してばかりだ。たまには金とか聖杯とかホイホイカプセルとか出て来れば面白いのだが。

2008/01/01(火)謹賀新年

朝から酒を呑んで寝てしまったので、こんな時間に更新。

もうちょっと色っぽい絵も描いているのだけど、間に合わなかったので、家族用の年賀絵でご挨拶させていただきます。

本年もよろしくお願いします。


2007/12/31(月)【本】私的年間ベスト10【2007】

恒例の今年の読了本のベスト10です。

今年読んだ本は40冊強。数は少ないが良い本に巡り合えた年だと思う。読める本は年々減っているけれど、読む本を選んでいるせいでもあるのだ。いや、ほんと。

2007/12/20(木)塚原卜伝

耳鼻科通いもようやく終わった。通院途中の古本屋にも当分寄らなくなるので、何か能天気なのを一冊と思って買ったのが、「講談名作文庫『塚原卜伝』」(講談社)。

昔の人はこういうのを楽しんでいたんだなあなどと上から目線で読みはじめたが、根が時代劇好きなおっさんなので、すぐはまってしまった。

時代考証は目茶苦茶だが、文章の調子が実に面白い。エンターテインメントは乗りの良さが大事なのは今も昔も変わらない。

『やっ』と一声うちこむ竹刀、心得たりと伊勢守、陰のかまえを陽にひらき、丁々発止(ちょうちょうはっし)、、丁発止(ちょうはっし)、十七八合というもの打ち合ったるありさまは実にものすごいばかりでございます。

まさに「声に出して読みたい日本語」である。

井川洗涯の挿絵がなかなかいい。

最初に書いたとおり、やっと耳鼻科の先生から治療終了のお達しをいただいた。最初の鼻血大量噴出が8月の終わり。長かった。

まあ、傷はふさがっても出易いことはかわりないので「出たらいつでもいらっしゃい」とのこと。ありがたいが、あまり行きたくはありません。でも、ありがとうございました。いつ鼻血が出るかとひやひやしている日常から開放されただけでも随分気分が違います。

別の医院で2年ぶりに検査した胃内視鏡も異常なし。今回は鼻から通すタイプだった。少し痛いが喉から入れるものより全然楽。こういった技術はまさに日進月歩でありますな。

ピロリ菌もゼロだった。抗ウツ剤も増やさずに済んだし、血圧も安定している。

ということでなんとか体調もやっと上向いてきてがんばるぞ、と思ったらもう年末ではないか!

2007/12/03(月)秋のような初冬のような休日

今日は珍しくつれあいが歯痛で熱を出し寝ていた。私もちょっとした家事をする以外は、おとなしく快楽亭ブラックの落語のCDを聞いたり(家族とはいえ女性がいるとこでは聞くのをはばかれるような内容なのだ)、アダムスの画集をながめたり、楳図かずおの『神の左手悪魔の右手』を読んだり(無茶苦茶怖い)してすごす。

*

読み終わった本も結構あって感想も書きたいのだが、どうも進まない。書名だけでもメモしておく。なぜか神・宗教に関わるのを偶然にも続けて読んでいる。

リチャード・ドーキンス『神は妄想である』、宮部みゆき『楽園』、マキャモン『スティンガー』『魔女は夜ささやく』、加持伸行『儒教とは何か』、小谷野敦『日本売春史』、小林泰三『AΩ』、乃南アサ『ボクの町』、快楽亭ブラック『放送禁止落語大全2』、網野善彦『日本の歴史をよみなおす(全)』

2007/11/29(木)アダムスファミリーの人

鼻血ブー以来、大学病院の耳鼻科に週一回ほど通っている。やっと完治が近くなってきた模様。

毎回見てくれるのは若くて色白の美人先生。いつも行きつけの会社のとなりの内科医院の院長先生は長身のハンサム。年4回ほどメンテナンスしてもらう歯科医院は私よりちょっと年下ぐらいの美熟女先生。私の医療環境は美形が多い。治癒効果が少しはあがりそうな気がするがどうだろうか。

*

朝病院に寄ってから会社に行くまでの道に昔よく通っていた古本屋がある。素通りできずに寄ると、二回に一回はなにか買ってしまう。

今日、目に入ったのはチャールズ・アダムスの画集。三百頁もあるズシリとくるハードカバーの大型本。なんと千五百円という嬉しい価格。思わず美人の店員さんに値段を確認してしまいました。もちろん買いましたとも。

英語版なので、キャプションはピンとこないのも多いが、だいたい絵を見ればわかる。ほくほくほく。


2007/11/22(木)『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌展

東京ミッドタウンに引っ越したサントリー美術館に「国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌展」を見に行った。

有名な甲巻の、やはり現物をみないとわからない墨の濃淡の妙を堪能したが、あまり見る機会のない、乙巻丙巻丁巻が意外と面白い。

乙巻は動物図鑑、丙巻は北斎漫画のような人物絵巻。そして丁巻はまるっきり絵柄の違う飄逸な線ながら、デッサンの確かさは上の画像をご覧あれ。

26日以降展示替えがあるらしい。また行けたらいいのだが、今日も結構混んでいた。仕事を無理矢理17時で終わらせ18時少し前に見はじめたときはまだ空いていたが、全て見終って再度甲巻を見ようと戻った19時には長蛇の列、二度見はあきらめて出口に向かった。16時〜18時くらいが狙い目のようだ。ご参考まで。


2007/11/03(土)黒い顔

友人のサイトで見事なロールシャッハテストの模様を見たとき、私が(中学生だったと思うが)昔作った切り絵を思い出した。

二つに折った紙を切って拡げたときの左右対象性が面白くて何枚か作ったが、スクラップを見直したら一枚だけ残っていた(たぶん、自分では一番出来がよかったのだろう)。モチーフは悪魔のような鬼のような怪物の顔。雀百までというか、進歩がないというか。


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