地獄の軍団スクワッド |
米国製のヴェトナム戦争映画。マイナーゆえに、安物の戦争アクション映画と見られがちだが、元海兵隊員のリー・アーメイの指導のもとに、名もなき海兵隊員の寡黙な戦いが描かれる秀作である。 |
タイトルだが、「スクワッド 栄光の鉄人軍団」という邦題もある。
この映画を初めて観たのは、私が中学生だった頃、たまたまテレビやっていたロードショーであった。21時からのテレビ・ロードショーの常として、日本語吹き替えで、新聞には陳腐なくらい過激なキャッチコピーが載っていた。「来るなら来やがれ! 30人の命知らずが30,000人の軍隊に挑む。相手にとって不足なし!」などと(注)。しかし、当時の私は戦争映画・アクション映画にハマりこんでいたため、迷うことなくこれを観た。
最初は火薬量と死人の数だけが売りの、くだらねーアクション映画かと思って観たのだが、まったく違った。米兵のM16A1ライフルは、アクション映画ではマシンガン同様に華々しく弾丸をバラまき、次々敵が倒れていたものだが、この映画では敵を引きつけ、そしてショートバーストやセミ・オートで静かに敵を倒した。そして着実に敵を倒しているのだが、次から次へと地を這う軍隊蟻のごとく米軍陣地に押し寄せる解放軍兵士。派手さはあまりないが、画面の端々で無名の兵士が必死で戦い、そして死んでいった。
この映画は、ただのアクションだけが売りの戦争アクションではなかったのだ。この兵士達の寡黙な戦いぶりに圧倒された私は、放送の翌日、レンタルビデオ屋でこれを探して何件目かでやっと見つめ、英語版を鑑賞することが出来た。いわゆる「B級映画」なタイトルとは裏腹に、英語版の兵士・下士官のやりとりには取り付かれた。特にハフナー上級曹長役のリー・アーメイ。彼は「フルメタルジャケット」の教官役で有名であり、後に「フルメタルジャケット」にも私はハマるのだが、この映画がリー・アーメイとの邂逅でもあった。
以来、私はLD版をさがしているが未だ見つからず、DVDは発売されていない(2002年1月1日現在)。DVDが発売されたら、真っ先に買おうと思っている作品の一つである。
注)
「来るなら来やがれ! 30人の命知らずが30,000人の軍隊に挑む。相手にとって不足なし!」
どう考えても、重砲基地グロリアの兵士は30人どころか300人はいるのだが。
30人とは、最初に登場する長距離偵察隊の人数なのか?
解放戦線兵士と戦うのは、長距離偵察隊の人間だけでなく、グロリアに居る全員である。負傷兵から衛生兵まで、誰もが必死で戦う映画である。このキャッチは誰が考えたのか知らないが、邦題同様この映画をバカ映画と見なさせる一因となっていよう。
・「寡黙な戦争映画」・・・私晴天による感想
・「海兵隊として生きる栄光、そして海兵隊として死ぬ栄光」・・・後輩、課長による感想