館山を発つ
2003年05月02日(金)朝
0800時に起きて、朝飯を食いに食堂へ下りる。メシは卵、カマボコ、焼き魚、海苔とオーソドックス。だが、魚まで固形燃料で焼くとは。既に焼いてあるのと、ここで薬のとどちらがいいと聞かれたが、私は物珍しさから固形燃料で焼く方を選んだ。朝飯はしっかりと食う方針なのだが、朝としてはそれなりのボリューム。満足である。そしてコーヒー・紅茶飲み放題とのことなので、美津濃氏が食い終わるまでコーヒーを2杯飲む。食べる速度は人に合わせるのが礼儀らしいが、ここでそんなことを考えることはあるまい。美津濃氏は遅く、私は速い。
メシを食ってから部屋に戻り、洗顔やヒゲ剃りをして身支度を整え、忘れ物を確認して部屋を出る。さらば波音(なみね)。会計はビール代を含めて、2人で11000円ちょっと。安いものである。海沿いの落ち着いた旅館。作家なんかが長期滞在して構想をねるのにはよい環境かもしれぬ。我々の宿泊客は、どんな素性の人々かは知らないが皆長期滞在者のようであった。釣り竿片手に海岸を歩き、宿で風呂に入り、食堂では焼酎や日本酒片手に宿泊客同士でしたしく呼び合う。一般の観光地の旅館とは、ちょっと趣が違うかもしれない。こういうのもわるくはない。
館山銀座なる商店街を歩き、そしてJR館山駅へ。
短い滞在だった。もうちょっとここそこを出歩いてもよかったが、そんなにあちこちに行って遊べるような土地でもない。それがわかっただけでも収穫であった。どうやらここは、海を見ながらのんびりし、釣り糸を垂らしたりして物思いにふける場所のようだ。そういう気分になったら、また来ることもあるだろう。
館山駅では、始発列車がドアをあけたまま長い時間、ホームで乗客を待ち続けていた。
我々は時刻表を見ることもなく、とりあえずは駅の特産物売り場へ。私はにんにくふりかけとあわびザーサイを買う。美津濃氏は、塩卵や鯨の薫製などいくつかの珍味を購入していたような。
さて。どうしたものか。今後の予定など決めていない。しかしこのまま八王子までまっすぐ帰るのも芸がない。JR千葉駅で降りることとして、とりあえずそこまでの切符を買う。改札では、駅員が手でスタンプを押してくれた。切符切りを受けるのは久しぶりだ。もう実家のある釧路でさえ自動改札になっている。
ホームに出ると、ちょうどよく千葉行きの直通電車が待機していた。外から見えた電車は千葉行きであったか。来るときに千葉−館山間の直通列車を逃したために随分面倒な目に遭ったが、これは楽でよい。
車両の中には、誰もいなかった。我々は早速車両端のボックス席に陣取り、荷物を網棚に上げる。
これが時刻表。1本乗り過ごすとまたしても凄絶なことになりそう。まあ帰りは急ぐことも予定もないのでそれはそれでいいのだが。しかし、私の実家がある釧路から根室方面に出る列車は、もっと本数が少なかったりする。
ホームで一服する美津濃氏と地元の親父。この5月から、関東の各私鉄は駅構内を全面禁煙とした。京王線からは灰皿が消えた。しかしJRはその方針をとっていない。館山駅にもまた、灰皿は設置されていた。
かくしてホームで一服し、駅の便所に行ったり、お茶を買ったりして、発車までの時間を過ごした。