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機関銃の社会史
ジョン・エリス著、越智道雄訳、平凡社 1993年刊

 銃剣とサーベルで渡り合う戦争から、新兵器が機械的に人を殺す戦争へとシフトする時代、新兵器の代表格たる機関銃がもたらした衝撃と、未だに戦争の魔術的魅力と英雄譚を信奉する人々の齟齬をシニカルに描く。文官肌の棒術部員には笑える一冊。


性と犯罪の心理 人はなぜ「性」に支配されるか
小田普著、芸文社刊

 性のエネルギーが別の形に昇華されず、犯罪やいわゆる「異常性愛」に結びつく事例を分析し、特に日本社会の変遷と時代を代表する性犯罪者を取り上げ、社会と時代の特徴とそれが性に及ぼす影響を考察する。学術書と読み物の中間ぐらいの簡易な本。この手の本のケーススタディはなかなか愉快。


三たび平和について
丸山眞男著、1950年 

 1950年に発表された、日本平和学の礎となった論文。「平和」に対して発言すると、論者の思想的立場への判定がついて回る。それに対して丸山眞男は、平和という価値を希求するためにはイデオロギーから独立することが必要と説く。50年以上を経て、今なお示唆深い論文である。


ロシア 迷走する技術帝国
江畑謙介著、NTT出版、1995年刊

 ロシアは工業が遅れている、というイメージがある。確かに自動車や家電は「西側」に対して遅れているが、軍用機・潜水艦などでは驚くべき技術を見せる。この齟齬は何か。軍需に傾斜しすぎたが故の軍需の発達と限界、そしてソ連(ないしロシア)独特の開発発想から、それを考察する。


長いお別れ
レイモンド・チャンドラー作、清水俊二訳、早川書房、1976年刊

 ハードボイルド小説の傑作と呼ばれる一冊。全ての価値に対して無頓着なわけでもなく、かといって道徳律に貪欲であるわけでもない。絶対の正義を胸に抱くこともない。しかしこのマーロウなる男が魅力を持つのはどういう面にあるのか。それが最もよく現れているのが、この「長いお別れ」ではなかろうか。



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