神さま
僕は君が定期的に崖の上へ昇っているのを知っている。 崖の上は天人たちの住処で、神さまに近いところで、僕にはまぶしくて近づけないんだ。 何をしに行ってるの? 「ああ、お祈りだよ。妹が、早く良くなるようにって」 君は寂しそうな笑顔で答えた。 それなら、崖の下で暮らさずに、もっと上で暮らせばいいのに。その方が神さまに近いのに。 「高いところは、飛べない僕らには、ちょっと怖いんだ」 気持ちは分かるよ。僕も飛べないんだからね。 早く、飛べるようになるといいね。 「君はいいの? 君の分までお祈りしてくるよ」 いいよ、僕は。飛びたくても飛べないんだ。翼がないから。僕の分までっていうなら、僕の分まで、君たちが早く飛べるように、お祈りしておいてよ。 「君が一緒でなきゃ、飛んでもつまらないよ」 ごめんね。一緒に飛べない。 僕はどんな顔をして、謝ってるんだろう。きっと、いつも君が妹のことを話すときみたいな、悲しそうな顔してるんだろうな。 |
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